熊本市液状化対策技術検討委員会(委員長・北園芳人熊本大名誉教授)の初会合が6月27日、市役所であった。被害規模が大きい近見地区については、平成30年度後半から対策工事を進める方針が示された。
委員会は、地域防災や地盤工学等の専門家5人で構成。熊本地震による地盤の液状化で被害を受けた宅地等の復旧工事に対し、技術面からアドバイスをする。
被害状況について市は、「白川沿岸部で帯状の被害が枝分かれするように発生」「埋め立てた土地や旧河道など内陸部でも多く発生」等と説明。基礎調査の結果から、液状化による被害戸数を約2900戸と推定した。
このうち「区域面積3000平方b以上で家屋10戸以上」「公共施設と宅地との一体的対策が可能」を要件に事業用地を選定。さらに地域住民の同意が得られた地区について、宅地液状化防止事業を検討する。工法は、地下水位低下工法(排水管方式・汲み上げ井戸方式)、格子状地中壁工法、側方流動対策工法―を想定している。
先行して調査している近見地区の報告もあり、委員からは「もっと密に地盤調査が必要」「試験地点は代表となる場所を」などの助言があった。今後、追加調査や解析を行い、今年度後半に試験工事の設計・施工に着手。並行して基本設計を進め、平成30年度後半に実施設計・事業計画を決定、着工する方針。
大西一史市長は「再度の液状化被害を防ぐため、発生要因やメカニズムを解明し、必要な技術的事項の調査、工法を検討する必要がある」と話し、市民が一日も早く安心した暮らしを取り戻せるよう全力で取り組む姿勢を示した。
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