静岡県焼津漁港管理事務所は、港口から進入する津波浸水被害の軽減を目的に、焼津港と小川港の港口にそれぞれ水門を建設する検討作業に入る。今後の基礎資料となる水門設置条件整理検討業務を、早ければ7月にもプロポーザルで公募する。
主な委託内容は、水門設計に当たっての諸条件や課題の整理など。水深などの地形的条件や、入港可能な船舶の規模などを踏まえた資料を作成する。現況の港口は、焼津港が延長約210b、小川港が延長約140b。
津波対策は、静岡県、焼津市、水産庁、学識経験者、地元漁協らで組織する「焼津漁港津波対策検討委員会」で既設・新設胸壁の整備、水門施設の効果、技術面、信頼性、維持管理と運用面などを総合的に評価し、2015年3月に県が基本方針をまとめている。その中に、津波による被害をできる限り低減し、水産業全体の事業継続性を高める観点から、漁港事業継続計画の策定、防波堤などの粘り強い改良に加えて、「水門などによる減災対策の検討」を盛り込んでいた。
しかし、整備実績の不足による信頼性、技術面、事業費などの課題が多いことから、今後の具体的なスケジュールは明らかにしておらず、県では2017年度中にも胸壁整備や水門設置の基本的な考え方などについて地元に説明していく考え。当面は第4次地震被害想定や水産庁が策定した「東日本大震災を踏まえた漁港施設の地震・津波対策の基本的な考え方」を踏まえ、漁港活動と漁港背後地域の生命・財産を守るための粘り強い津波防災・減災対策を進めていく。
なお、現在、岩手県では大船渡市末崎地区に国内初の施工例となる津波の浮力で所定の位置まで水門を浮上させる「フラップゲート式」の水門整備を進めている。
提供:建通新聞社
(2017/7/3)
建通新聞社 静岡支社