徳島市教育委員会は、渋野町にある前方後円墳「史跡渋野丸山古墳」の保存整備や活用の方針を定める基本計画(素案)をまとめた。約1500年前に造られたとされる県最大の前方後円墳として、2009年に国史跡に指定となったものの、樹木が密集し外観が分かりづらくなっているだけでなく、墳丘の各所で崩落や崖化が見られ、早急に何らかの対策を行う必要があることから、古墳の保存整備工事を実施することにした。整備に当たっては、市民に親しんでもらう公開活用型の施設を見込み、7月25日まで同計画(素案)について意見を求めている。
整備基本計画では、今後、古墳を確実に保存し、次世代に残していくために▽不要なブロック塀、石垣などの除去、樹木の整理▽調査成果に基づいた削平部分の復元および復元不能な部分の地上部への平面表示▽造出や周濠、埴輪(はにわ)列など各遺構の説明板の設置▽後円部東側の凹凸を整地後、ベンチや広場の整備▽見学のための通路や階段の設置▽主要道路やその分岐点に古墳の位置を示す標識の設置▽維持管理のための水道栓や電気設備、倉庫の設置▽重点的な排水設備の整備(雨水対策)▽トイレや駐車場などを備えた渋野公民館のガイダンス施設としての利活用−を図ることにしている。
また、維持管理・運営計画では、官民の役割分担を踏まえ、市と地元団体などに委ねるものに分類し、将来的には市民団体による維持管理や運営を目指す考え。事業に当たっては、民有地の買収や発掘調査などの各種調査、樹木の整理や基本・詳細設計を行い、24年度までの整備工事完了を目指し、22年度から工事に着手する予定。
計画策定後は、同古墳に関する講座や展示を公民館や関連施設で実施する他、発掘調査や整備工事の一般公開、史跡めぐり、体験学習など市民参加型の活用事業を展開していく。また、整備後は自然豊かな立地を生かし、歴史学習に限らず、さまざまな体験や地域イベントの場としても活用していく考え。
提供:建通新聞社