土砂災害の恐れがある愛媛県内の土砂災害危険箇所は、1万5190カ所ある(2017年3月31日現在)。うち工事など対策済みや着手中の箇所は3656カ所、着手率は24・1%と低迷している(表参照)。生命・財産を脅かす土砂災害からの危険を回避するため、整備促進が求められるが、着手率の低迷は土砂災害危険箇所の多さが挙げられ、限られた砂防事業費の中でやり繰りしているのが現状。
県内の土砂災害危険箇所の内訳は、土石流危険渓流が5877カ所で着手率は21・5%、地滑り危険箇所が506カ所で同34・2%、急傾斜地崩壊対策危険箇所が8807カ所で同25・2%となっている。
また県では、14年10月の土砂災害防止対策の法改正を受け、15年度から19年度までの5カ年で危険箇所のより詳細な基礎調査を進めており、調査結果を基に土砂災害警戒区域を追加指定している。現在の土砂災害警戒区域の指定区域数は、4073区域。14年10月の2266区域から倍近く増えている。
市町別の内訳は、四国中央市が149カ所、新居浜市が149カ所、西条市が109カ所、今治市が455カ所、上島町が50カ所、東温市が80カ所、松山市が341カ所、伊予市が222カ所、砥部町が105カ所、久万高原町が148カ所、大洲市は237カ所、内子町が177カ所、八幡浜市が167カ所、伊方町が206カ所、西予市が356カ所、宇和島市が661カ所、鬼北町が145カ所、松野町が45カ所、愛南町が271カ所となっている。
一方、基礎調査が完了し今後、指定が予定されている地区数は1634カ所。内訳は新居浜市が40カ所、西条市が71カ所、今治市が196カ所、東温市が23カ所、松山市が153カ所、大洲市が176カ所、内子町が489カ所、西予市が1カ所、宇和島市が263カ所、鬼北町が221カ所、松野町が1カ所ある他、今後17〜19年度で実施される基礎調査により、さらに多くの危険区域が判明すると思われる。
県内は地形的に土砂災害危険地区が多く、基礎調査の推進や結果の公表、警戒区域の指定など土砂災害危険箇所の周知、警戒避難体制の充実など出水期を迎え、安全・安心対策の整備が急がれる。
提供:建通新聞社