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日本工業経済新聞社(茨城)
2017/06/23

【茨城】大子町が庁舎建て替えへ検討委員会開く

大子町は老朽化の進む庁舎の建て替えについて、本格的に検討を開始する。21日、第1回新庁舎建設検討委員会会議を開催。協議の結果、委員からは建て替えが適当であるとの意見が多数であったことから、同委員会では今後、建設予定地や整備スケジュールなどの検討を進める方針。会議後、委員長を務める和田宗介副町長は「建て替えをするなら今しかない」と話し、国からの財政支援を受けられる2020年度までの建て替えに意欲を示した。
 本庁舎は1961年の建設から56年が経過。規模はRC造3階建て延べ2106・39u。同一敷地内に立地する第1分庁舎と第2分庁舎も建設から約50年が経過している古い建物であることから、さまざまな課題が生じている。
 まず、雨漏りや外壁の剥離など本体部分の老朽化、給排水設備における漏水、冷暖房設備の効率低下などが随所に見られる。それに伴い維持管理費も増大しており、過去5年間で庁舎の修繕などに991万3591円を支出している。
 次に庁舎の狭あい化。庁舎のスペースが限られているため電子機器の設置やシステム整備を行うことが困難な状況であり、きめ細やかな住民サービスの提供に支障を来している。加えて会議室や作業スペース、書庫などが不足し事務効率の低下を招いている。
 また、旧耐震基準で建設されたため耐震基準を満たしておらず、災害時の中枢機能、防災・災害復旧の拠点としての役割を果たせない可能性が高く、大きな不安がある。
 そのほか、庁舎にはエレベーターが設置されていないためバリアフリー化への対応不足も課題として挙げられる。
 このような状況から町では14年度に庁舎建設基金を設置。昨年度までで累計5億円を積み立て、将来の建て替えに備えていた。
 当初は東京オリンピックの整備が一段落する20年度からの検討を想定していた。しかし、国が示した17年度地方債計画(案)において役場庁舎機能の確保を目的とした市町村役場機能緊急保全事業の創設が示された。同事業を活用し国からの財政支援を受けるためには20年度までに建て替える必要があるため、本年度から庁舎建設の検討を開始することとした。
 会の冒頭、綿引久男町長は「老朽化が進む本庁舎は早急な対策が必要。本日は新庁舎の建設について諮問させていただくが、委員の皆さまには建て替えありきでなく現在の状況や財政面などを踏まえ、建て替えが必要かどうかを検討していただきたい」とあいさつ。
 続いて、16人の委員から和田副町長を委員長に、町区長会の岡村教三氏を副委員長に選出し、協議に入った。協議の結果、既存庁舎の耐震補強ではなく、建て替えの方向で検討を進めていくことが決まった。来月開催予定の第2回会議では建設候補地や整備スケジュールについて話し合う。年内をめどに検討を重ね、策定した基本構想・基本計画を町長へ答申する。
 会議を終えて和田委員長は「国の財政支援を受けられるこの機会を逃すと、町の負担だけで建設するしかない。建て替えするなら今のタイミングしかない」と述べた。