日本工業経済新聞社(茨城)
2017/06/21
【茨城】県企業局が霞ヶ浦浄水場へ新高度処理技術導入へ年度内にも実施設計へ
県企業局は、土浦市大岩田の霞ヶ浦浄水場において新たな高度浄水処理技術を導入する。基本設計は鞄水コン(東京都新宿区)が策定。本年度は厚生労働省へ事業認可申請を行い、早ければ実施設計にも着手したい考え。その後3カ年程度かけて建設工事を行い、2021年度の供用開始を目指していく。
霞ヶ浦を水源とする企業局の浄水場では、従来より厳しくなった水質基準への対応や原水の水質変化により、浄水処理費用が年々上昇している。このため、2014年度から効率的・安定的な処理が期待できる国内初の新しい高度処理技術の実証実験を実施。効果が検証できたため、昨年度から霞ヶ浦浄水場への建設に向け動き出した。
新しい高度処理技術は、かび臭原因物質を除去する「オゾンと過酸化水素を使用した促進酸化処理」と、溶解性有機物を除去する「帯磁性イオン交換樹脂処理」の2つ。このうち促進酸化処理は、原水のかび臭を企業局の管理目標である5ng/L以下(水質基準10ng/L以下)に除去。帯磁性イオン交換樹脂処理では、発がん性が疑われているトリハロメタンの原因である溶解性有機物を安定的に取り除く。帯磁性イオン交換樹脂処理は、これまでの生物処理に代わり採用。促進酸化処理は砂ろ過処理と活性炭処理の間に追加する。これらの国内初となる新しい高度浄水処理技術を導入することで、より安定した浄水処理と同時に費用を大幅に低減することができる。
昨年度には基本設計業務を発注し、日水コンが2660万円(税抜き)で落札。本年5月末までに策定を完了した。
今後は、厚生労働省へ浄水処理の変更に係る事業認可申請を行い、事業認可を受け次第、早ければ本年度内にも実施設計を発注する。建設工事は3カ年程度を見込んでおり、21年度の供用開始を目指す。