福井県建築士会福井支部(森川清和支部長)主催の「空き家セミナー」は17日開かれ、専門家の捉える現状認識などから今後の問題解決へむけた取り組み方を学んだ。福井市手寄1丁目のアオッサで。
講師には同問題に詳しいNPO法人とやまホーム管理サービス理事などを務める中山聡氏(富山県出身)を招き、宅建や不動産業の関係者、空き家を所有する一般の参加者なども含む約100人が耳を傾け、大きな社会問題として顕在化する空き家の解決へ、関心の高さをうかがわせた。
中山氏は日本の人口が今後50年で8800万人余へと急減する右肩下がりの曲線を示した上で、空き家が発生する伏線は世帯分離の5人から3人、さらに核家族から単身、そして一人暮らしのお年寄りへと変化し、所有者が死亡して発生すると指摘。また問題継続の原因は所有者側には相続人がいない、一方の需要側には欲しい情報が不足する弱点を強調し「不動産は人口ではなく世帯数が深く関係し、本質的には家が問題ではなく人の問題」と直言。考え方として「空き家は貸さない方が賢明で、借地上の空き家は特にダメ(地権者3人でトラブル必至)」、ちなみに「火災保険はお互い様で要らない」と虚をつくなど具体的なヒントを様々に伝授した。
なお今企画は県建設技術公社が共催。県や福井市、県建築士事務所協会、県不動産コンサルティング協会、県インテリア事業協同組合らが後援。
冒頭、歌門敬二県建築士会長が挨拶し「空き家は壊せばいい問題ではなく、どう生かしていくかが大切。明日からの道しるべに」などと述べた。