熊本県は7日、熊本地震の経験や教訓を後世に伝える震災ミュージアムの「あり方検討有識者会議」の初会合を開いた。8月まで3回程度の会合で、震災遺構の保存・活用や施設整備の必要性などを議論し、今秋にも蒲島知事に提言する。
テルサであった会合には、地域防災や活断層、文化財、地域づくりなど専門の委員7人と、知事公室の白石伸一危機管理監らが出席。県は、被災市町村が仮保存を検討している断層や、国内の震災ミュージアムの整備概要について説明し、委員が意見を交わした。会議は非公開。
現時点で自治体が遺構としての保存を検討しているのは、益城町、南阿蘇村、西原村の断層や道路・橋梁など37件。座長の柿本竜治熊本大学大学院教授によると、地域や種類が偏り、特に被災建築物が少なかったことから、保存すべき遺構を再度全市町村に照会し、次回会合であらためて検討する。
ミュージアムの在り方では、断層が30`と広範囲にわたり、先進施設で来場者数が減少し維持管理コストが課題となっているため、回遊性を持たせコストを抑えた新しいミュージアムを求める意見が出た。
柿本座長は「来場者がいて、学べ、後世に伝えなければいけない。実現可能性を考えながら方向性を示したい」と話した。
震災ミュージアムについては昨年6月、くまもと復旧・復興有識者会議が設立を提言し、県の復旧・復興プランに盛り込んでいた。国内には人と防災未来センター(兵庫県、設立経費121億円)、中越メモリアル回廊(新潟県、5億5000万円)、がまだすドーム(長崎県、43億円)などがあり、義援金や国庫補助、一般財源、復興基金などを充てている。
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