「我々の先輩方は本物にこだわったまちづくりを行ってきた。それは前田の殿様の時代からだ。金沢はこれからも常に世界を視座したまちづくりを進め、そのブランド力を高めるためにもしっかりとしたホテルが欲しかった」―。今月7日、東京・虎ノ門ヒルズの51階、アンダーズ東京で行われた金沢駅西口プロジェクトの記者会見。冒頭のあいさつで山野之義金沢市長はこのように力を込めた。
何かの期待感があったのか―。報道関係者は会見の30分以上前から会場に詰め、スタンバイしていた。金沢の新しいランドマークとなるホテル「ハイアットセントリック金沢」に隣接する棟の低層階に、日本初上陸となる長期滞在型ホテルブランド「ハイアットハウス」の進出が明らかになった。オリックスの当初提案では中長期滞在型のSA(サービスアパートメント)として米国の「オークウッド」を予定していたが、その後、ハイアット系列に変更されたもので、今回『国内初』という冠が付くサプライズに東京での会見の意味が感じられた。
オリックス執行役不動産事業本部長の深谷敏成氏は今回のプロジェクトのコンセプトについて「『The Kanazawa』とし、欧米やアジアなど海外の富裕層に金沢に来てもらい、この場所で来訪者と地域の居住者が交流する場、新しい金沢を発信したい」と切り出しながら、施設概要を説明した。
通常型ホテルの「ハイアットセントリック金沢」はホテル棟の1階から14階に客室数約250室を提供。宿泊するという場所以上の存在意義や、価値観を求める世代を超えた年齢層のためのライフスタイルホテルブランドで、その名の通り、「いつでも、どの街でも、あらゆることの中心」をアピールする。シンプルながら配慮の行き届いた合理的で効率的なサービスに加え、付帯施設としてレストラン、ルーフトップバー、ジム、会議室を備える。
一方、長期滞在型ホテルでセレクトサービスの「ハイアットハウス金沢」は隣接棟の3階から7階に入り、客室数は約90室。ビジネスとレジャーの両方のニーズに応え、快適だが飾らない空間で1部屋の平均面積は40平方メートル以上。ミニキッチン、電子レンジ、冷蔵庫、ダイニングテーブル、ソファに加え、ランドリー施設なども備える。付帯施設にはレストラン、ジムなどを予定する。同棟の上層階、8階から15階には大京が金沢随一のプレミアムレジデンス120戸を分譲することも明らかになった。
低層部分の1、2階は商業施設で、金沢を訪れる人や地元の人たちが楽しめ、味わえる上質な空間を提供。ここでも新たな金沢の顔を目指し、商業施設部分の屋上は『みらいの丘』として多様な交流の場を創造していく構えだ。