日本工業経済新聞社(茨城)
2017/06/08
【茨城】上曽トンネル18年度から本格着工へ
桜川市と石岡市を結ぶ県道7号石岡筑西線「上曽(うわそ)トンネル」の整備に向けた動きが活発化している。5月19日には桜川市役所大和庁舎で、両市による整備促進を確認する合意書が締結されたほか、県も交えた3者で構成する「上曽トンネル整備事業調整協議会」の発足式を開催。今後、県道を市道に変更し、市道整備として事業を推進していく。2017年度は設計の見直しなどを行い、18年度の整備着手を目指す。また、財源の一つとして活用する合併特例債の期限が25年度であることから、それまでには完成させたい考えだ。
上曽トンネルは、桜川市真壁町山尾地内と石岡市上曽地内を結ぶトンネルで、両市にまたがるきのこ山などを貫通する形で計画されている。現道である石岡筑西線の筑波山麓を通る上曽峠区間においては、自動車のすれ違いが難しいほど幅員が狭いうえ、カーブが多く、冬季には路面凍結による通行止めが生じるなど交通に不便を来している。
上曽峠付近の走行性や安全性を確保するため、トンネル区間3・54qを含む6・1qのバイパスが計画され、01年度から県、桜川市、石岡市の3者で施工区分を定めて整備に取り組んでいる。
これまで旧真壁町と旧八郷町で費用を負担して、桜川、石岡両市側の取付道路部で一部着工。桜川市で盛土工事などが実施されたほか、石岡市では0・52q区間がすでに整備されている。しかし、用地取得の難航や県の財政難などによって事業全体が停滞。現在の進捗率は事業費ベースで11%にとどまっている。
今回の合意により、すでに石岡市側で整備した部分を除く延長5・58q区間について、両市がそれぞれ市境までを整備していく。計画幅員は17〜19m(2車線)。
具体的には、桜川市側で2・63q(トンネルL1・58q、取付道路L1・05q)、石岡市側で2・95q(トンネルL1・96q、取付道路0・99q)。
用地取得については、桜川市側は完了しているものの、石岡市側で一部残っており、本年度中の完了を目指していく。
整備区間は一時的に市道として認定し、受託工事として、両市から県が請け負う。これに伴い取付道路の整備工事は、桜川市側が県筑西土木事務所から、石岡市側が県土浦土木事務所からそれぞれ発注となる見通し。トンネル本体の工事については、今後、両市と県の3者で発注形態などの詳細を検討していく。
17年度に設計の見直しを進めるとともに、必要に応じて調査・設計を実施していく。その上で工事箇所を決定し、18年度の整備着手を目指す。
当時のトンネル部分の設計については、日本工営梶i東京都千代田区)がまとめた。
概算事業費は110億円を試算しているが、これから行う設計の見直しなどによって、あらためて積算する。財源には合併特例債のほか、国や県の交付金を活用する。
なお、将来的にはトンネルを含むバイパス区間を県に、現道の上曽峠などを両市にそれぞれ移管する方針だ。