智頭町市瀬の山地が崩壊し国道53号に土砂が流出した対応で、県土整備部は7日、崩落の原因になった山林対策について林野庁と具体的な協議に入った。被害の拡大を防止するため「災害関連緊急治山事業」の導入を視野に入れており、今後対策の中身を詰める。
5月31日の局地的な大雨によって同町市瀬の沢が崩落し、翌1日にかけて2度にわたり国道53号「智頭トンネル」の智頭側出口をふさいだ。
トンネル坑口の脇から国道とともに、並行する町道の下を暗渠が走っており、土砂が暗渠の呑み口を埋めて約300立方bが国道にあふれ出た。
崩落の要因になったカ所は、智頭トンネル坑口から北側の沢を伝って400〜500bの急斜面。荒廃が進行しており、県が2009年〜15年度にかけ治山事業で谷止め工10基などを整備していた。
今回崩壊した土砂は、これら治山施設を次々に乗り越えて国道まで到達した。
現地では、国交省が土砂を撤去後、応急対策で土工用防護柵30b、大型土のう130個の設置を完了(=写真)。一方、県は山腹に監視カメラや土砂感知センサーを設置し監視態勢を強化したうえで、谷止め工にたまった土砂を取り除き、ポケットを造成する応急対策を進めている。
抜本対策に向けて、同部は「災害関連緊急対策事業を申請して取り組みたい」(治山砂防課)と説明し、林野庁との折衝に入った。ただ崩落カ所は険しい斜面で、山腹から直接土砂を排土することは難しそう。
今後の検討では、谷筋に2次製品の人工排水を設置することや、既設谷止め工のかさ上げなどが考えられそうだ。
日刊建設工業新聞