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建通新聞社(中部)
2017/06/01

【岐阜】県2017年度事業展望 多治見土木事務所

 岐阜県多治見土木事務所は、多治見市、瑞浪市、土岐市の県東南部の3市を管轄する。管内の面積は382平方`と県全体の3・6%だが、人口は20万人と県全体の10・2%を占め、低山地内の河川沿いに人口が集中している。都市周辺の住宅宅地の開発や企業、大型商業施設の進出などで交通量が増大しており、幹線道路では慢性的な交通渋滞が発生し対策が求められる。また、管内では陶土が採掘されるように、地質が脆弱(ぜいじゃく)で土砂災害警戒区域も多く、地すべりや豪雨災害なども懸念される。大野真義所長に2017年度の事業計画を中心に聞いた(聞き手は岐阜支局=高木敏之)岐阜県多治見土木事務所 大野所長
 ――17年度の基本方針は。
 「岐阜の未来を支え、命と暮らしを守る、安全・安心な『清流の国ぎふ』づくりを目標に掲げた17年度県土整備部基本方針の政策の4本柱に沿って各事業を推進する」
 「一つ目は、人や仕事を岐阜に呼び込むための社会資本整備として、五斗蒔スマートインターチェンジ(IC)や土岐南多治見ICなどへのアクセス道路の整備を進める」
 「その他、リニア新幹線活用戦略に基づく東濃西部都市間連絡道路などのネットワーク・インフラ整備、産業活性化や地域の安全・安心につながる幹線道路の整備、慢性的な交通渋滞対策、都市の面的な市街化を誘導する街路を整備する」
 「二つ目は、強靱(きょうじん)な県土づくりの推進として、東濃西部エリアの災害時応急対策の資機材備蓄拠点の整備を都市間連絡道路ランプ内で実施しており、8月に完成する。広域災害に備えた下石笠原市之倉線の緊急輸送道路の法面の落石・崩壊対策、土岐川、肥田川、日吉川などの河川改修、国の砂防事業区域以外での砂防事業などを推進する」
 「三つ目は、自然と共生した県土づくりの推進として、フィッシュウェイ・サポーターとの協働点検による魚道の機能回復(土岐川魚道修繕)や、川を題材とした総合学習を支援する」
 「四つ目は、社会資本を支えるパートナーの育成・支援として、地元建設業の人材確保や社会基盤メンテナンスエキスパートを活用した維持管理体制を推進する」
 ――主な事業について伺いたい。
 「道路建設事業では、多治見市内の交通渋滞対策として進めてきた多治見市北部の国道248号の4車線化にめどがついたので、同路線の多治見IC前の交差点改良を進める。この他、豊田多治見線の滝呂バイパス(BP)や下石笠原市之倉線で用地買収などを進める」
 「土岐市内では東海環状自動車道五斗蒔スマートインターに接続する土岐可児線の他、ICTを活用した発注者指導型モデル工事として土岐南多治見インター線のBP整備を発注する。また、国道363号柿野BPなどで事業を継続する」
 「瑞浪市内では北部の日吉地内の大西瑞浪線で、狭小・屈曲部の解消を目指した現道拡幅工事を進めており、残る用地の買収と工事を継続する」
 「街路事業では、新土岐津線(一般県道河合多治見線)と妻木線(主要地方道土岐足助線)で、用地買収を継続する。また、音羽小名田線(一般県道多治見八百津線)でも用地買収を進める」
 「道路維持事業では、緊急輸送道路上の橋梁耐震補強、補修は終えており、瑞浪大野瀬線の瑞浪大橋、川折橋では防護柵の付け替えや補修工事も行う」
 「舗装補修では、多治見恵那線など管内各所で舗装補修工事を行う。この他、道路パトロールに加えてMS制度も活用して地域住民と連携した道路維持を進める」
 「交通安全事業では交通事故の減少や歩行者の安全対策のため、多治見八百津線などで交差点改良を進める」
 「防災事業では、多治見市内の下石笠原市之倉線などで落石事故の防止と異常気象時の通行規制区間の解除を目指し、緊急輸送道路上の危険箇所を優先した落石対策工事を実施する」
 「河川事業では、岐阜県新五流域総合対策プランに基づき、土岐川流域の笠原川(多治見市大畑町)での河積阻害箇所の解消に向け詳細設計を行い、工事着手する。肥田川(土岐市肥田町)では石仏橋の旧橋撤去と右岸の護岸工事を実施する。土岐川(瑞浪市土岐町)では、河積阻害の堰を除却するための護岸工事を継続する。日吉川(瑞浪市日吉町)では、自然環境に配慮した河川改修工事を継続する」
 「砂防事業では、月見2―2谷(多治見市月見町)で用地測量を行う。不動川(瑞浪市釜戸町)、上ノ平洞(瑞浪市小田町)では堰堤工事を継続する。また、県単独事業では滝沢川(瑞浪市土岐町)で護岸工事を継続する」
 「急傾斜地崩壊対策事業では、小泉(多治見市小泉町)で工事を継続する。小泉2(同地内)では用地測量を行う。瑞浪市土岐町南山と瑞浪市陶町細久手では、擁壁、法枠工を継続する」
 「地すべり対策事業では、地質が粘土層や亜炭層など脆弱で地すべり防止区域が多いことから、地すべり対策や観測を強化している。瑞浪市白倉では用地測量を行い、対策工が概成している瑞浪市南垣外では経過観測を継続する」
 ――建設業に向けたメッセージを。
 「地域建設業は、社会資本の整備や維持管理に不可欠であり、地域の安全・安心、雇用の確保に必要な存在だ。道路や河川の維持補修業務では昼夜を問わず迅速な作業によって、道路事故の防止や適切な維持管理につながっている。また、冬季は早朝の除雪や凍結防止剤の散布作業などに対応していただき、地域の社会経済活動に大切な役割を担ってもらっている」
 「建設業を取り巻く経営環境は依然厳しいが、公共事業への地域のニーズは高く、老朽化する社会資本の補修、改築など、やるべきことはたくさんある。多治見土木事務所としても、今後の事業量の確保、事業の円滑な推進に向けて、『ICTを活用したモデル工事』や『週休2日制モデル工事』『建設現場の環境改善モデル工事』などに積極的に取り組んでいきたいと考えているので、協力をお願いしたい」
 「また、建設業が若者に夢をもって将来を託せる産業≠ノなるように、互いに力を合わせて事業の推進を図りたい」

提供:建通新聞社(2017/06/01)