水害の未然防止、発生時の被害軽減などを図るため、水防技術の向上や水防体制の強化を目的に行われる「水防演習」が5月28日、雄物川右岸の秋田市茨島地先で行われた。演習には主催の雄物川流域8市町村、県、東北地方整備局のほか、建設関連団体、東北の消防団ら1,050人が集結し、参加した水防団は水防工法を競うなどして日ごろの活動の成果を発揮した。
演習は、秋田市消防団の山内隆一副団長が前佛和秀秋田県建設部長に人員報告をして開幕した後、石井啓一国土交通大臣が登壇して昨今の自然災害などについて触れ、「水防活動と河川整備は『車の両輪』。国土交通省は災害現場の第一線にいる皆さんとの連携強化にいっそう取り組む」とあいさつした。
演習は、5月27日未明からの降雨により、流域の平均総雨量が28日朝9時までに180mmに達しているとの想定で実施。河川氾濫の緊急速報を携帯電話やスマートフォンにメール配信する訓練を初めて行い、秋田市内のスマートフォン所有者の端末がいっせいに鳴った。
水防団による漏水防止の演習では、堤防の裏などで漏水が発生した際、土のうを積み上げて噴出を抑える「月の輪工」や、平場で同様の事態が発生した場合に施す「釜段工」を実施。その後の東北水防競技大会でも各種水防工法などが実践された。
水防演習は、国土交通省が「水防月間」と定める出水期前の5月に、東北では6県持ち回りで水防に対する理解を深めるため行われているもので、本県での開催は22年以来7年ぶり、6回目。
提供:秋田建設工業新聞社