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建通新聞社(中部)
2017/05/29

【岐阜】県2017年度事業展望 美濃土木事務所

 ひとやしごとを岐阜に呼び込むための社会資本の整備や、確かな安全・安心に向けた強靱(きょうじん)な県土づくりの推進−など5本の政策を定める岐阜県美濃土木事務所。これに基づき、「安全」、「安心」、「活力」、「自立」を支える社会基盤整備を進めていく。新大矢田トンネル(仮称)の調査・設計など今後を見据えた事業を進める同事務所の白河忠良所長に2017年度の事業概要を聞いた。(聞き手は岐阜支局=岡本彰)白河忠良所長
――現状と課題は。
 「管内には管理道路が250`あり、改良率は72・2%と県の平均65・4%をわずかに上回っている。しかし全国平均の76・2%にはおよばない現状だ。また、2カ所の通行規制区間があり、緊急時の対応や地域の生活に支障をきたしている。河川を見ると、長良川をはじめとして、板取川、津保川、武儀川などの主要な一級河川が流れる。近年頻発する短期的・局地的な集中豪雨による洪水被害に備えるため、美濃市立花地内での長良川の改修をはじめ、他の河川でも河道掘削や護岸工事などの治水対策を進める必要がある」
 「水防の取り組みとしては、氾濫シミュレーションを実施し氾濫ブロックを見直す。道路防災面では、緊急輸送道路ネットワーク整備計画に基づき、橋梁の耐震化など防災・減災対策に取り組む。そして、老朽化した道路や橋を維持、管理しメンテナンス計画を進めなければならない。樋門などの河川構造物や、砂防施設についても、老朽化が進んでいるため、河川インフラ長寿命化計画、砂防施設長寿命化計画に基づき、早急に対応する必要がある。この他、交通安全対策として自転車歩行者道や歩道の整備を実施し、安全で安心な地域づくりを進めていく」
――予算規模、編成について。
 「当土木事務所の当初予算は、公共・県単を合わせて約22億円であり、前年度当初予算とほぼ同額となっている。工事を進めるためにはまず用地の確保が必要となることから、当初予算は、設計費や用地補償費へ優先的に配分し、工事ストックの確保を図る予定だ。また、ゼロ県債の活用を含めた上半期発注により工事の平準化を図りたい」
――基本方針について。
 「県では、国土強靭(きょうじん)化に関する総合的かつ計画的な推進を図るため、15年度から5年間の推進方針を示した『岐阜県強靭化計画(国土強靭化地域計画)』、『岐阜県強靭化アクションプラン』を策定した。このプランに基づき個別施策の着実な推進を図る」
――重点施策(主な事業)について
 「道路整備事業や街路事業では、国道248号バイパスの関市山田工区で、4車線化に向けた整備と山田交差点の左折車線整備を進める。国道418号の関市肥田瀬工区は、16年度に引き続き用地補償および工事を実施する。国道256号の関市尾倉工区は、16年度から事業化しており、本年度は構造物設計および用地調査を行う。岐阜美濃線の美濃市極楽寺工区は、4車線化事業を進めており、本年度は用地補償および宮川橋の拡幅工事を実施する。美濃洞戸線の美濃市蕨生工区は、13年度から事業を進めており、本年度は工事を実施する。上野関線の美濃市半道工区は、16年度に引き続き用地補償を行うとともに、新大矢田トンネル(仮称)の調査設計を行う」
 「道路維持事業は、道路防災事業として、江南関線の関市倉知工区、関金山線の関市中之保工区で落石対策を進める。交通安全事業として、関金山線の関市下之保工区、美濃洞戸線の美濃市安毛工区で歩道整備を継続する。関本巣線の関市千疋地区においては千疋橋の側道橋の計画を進める。舗装補修事業として、損傷の著しい白鳥板取線、美濃川辺線、国道256号などで舗装補修を実施する。橋梁補修事業では、緊急輸送道路である関本巣線に架かる千疋橋の耐震補強を継続する」
 「河川事業は、美濃市立花地内の長良川の改修で、引き続き用地補償と工事を行う。関市保戸島地内の今川改修も、引き続き用地補償と工事を実施する。美濃市西市場地内の余取川改修については、丈量測量を行う。関市明ケ島地内の小那比川改修については、丈量測量、用地補償などを実施する。砂防事業や急傾斜地崩壊対策事業は、砂防事業としては、継続となる美濃松森地内の亀野谷で工事を進め、関市下之保地内の大洞谷や関市下之保地内の寺洞では、用地補償および工事を進める。また、緊急改築事業である関市板取地内の島口川では、補償調査や丈量測量を進める。次に、急傾斜地崩壊対策事業については、継続事業の関市中之保地内の間吹2の工事、関市下之保地内の町1および関市洞戸市場地内の神明前の用地補償および工事、関市武芸川町地内の本都延の丈量測量を実施する。新規事業の美濃市須原地内の須原1は測量と設計を行う」
 「都市公園事業は、関市にある百年公園の中でも老朽化が著しい公園南側にある児童園の遊具更新をはじめ、施設の維持管理、枯損木の撤去などを行い、訪れる方が安全に、楽しく過ごせる公園づくりを進める」
――建設業界に対してのメッセージ。
 「建設業は、地域経済や雇用を支えるために、なくてはならない基幹産業だ。災害時の応急復旧や冬季の除雪作業など、地域の安全・安心に欠くことのできない地域防災力の要でもある。県としても建設業界の人材確保や人材育成に対してできる限りの協力をしていく。業界においても、一層技術の研さんを積み、より高い品質の社会基盤を地域の皆さんに提供するよう努力してもらいたい。16年度発注の工事においては、重大な人身事故が1件も発生しなかった。引き続き安全の確保に努めてもらいたい。地域貢献などを通して、地域から親しまれ、地域に密着した業界として頑張ってもらいたい」

提供:建通新聞社(2017/05/29)