東京都建設局は、文化財庭園に位置付けている「旧芝離宮庭園」と「六義園(りくぎえん)」の保存活用計画を作成する。これまでの保存管理の視点に「活用」の視点を加え、ゾーンごとに施設の復元や修復、景観・回遊性に配慮した動線の整備といった具体的な取り組みの方向をまとめていく。
都内には文化財保護法をはじめとした法令や条例に基づき、名勝などに指定されている文化財庭園が18件ある。このうち▽小石川後楽園▽六義園▽旧浜離宮庭園▽向島百花園▽清澄庭園▽旧芝離宮庭園▽旧古河氏庭園▽殿ケ谷戸庭園(随♂)▽旧岩崎家住宅―の9件が都立庭園。
重要な文化遺産として次世代に継承していくため、都は2004年度に保存管理計画を策定し、遺構調査など史資料調査を行いながら、各庭園の修復・復元を進めてきた。
一方、各地で文化財を観光やまちづくりの中心に据えて活用するといった社会情勢の変化を受け、文化庁は15年に「史跡等・重要文化的景観マネジメント支援事業報告」を作成。文化財庭園の保存管理に加え、活用も重点化する方針を打ち出した。
こうした状況を踏まえ、都も文化財庭園の保存活用計画の策定を開始し、今年3月に第1弾として旧浜離宮庭園の事業内容をまとめた。
17年度はこれに続き、旧芝離宮庭園と六義園の2庭園の保存活用計画を作成する。それぞれの庭園の内部や周辺地域の現況、歴史背景などを核にした上で、地形や景観などを踏まえてゾーニング。ゾーンごとに地形、植栽、建造物、遺構などの「要素」に応じた保存の方法を検討し、修復や補修、整備、動線の確保といった取り組みの内容を位置付ける。専門委員会を4回程度開き、ここでの議論を踏まえて年度内に取りまとめる。
提供:建通新聞社