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建設経済新聞社
2017/05/24

【京都】6月に公共事業評価第三者委 向島宇治線は事業費29億円 スタジアムは工期20ヵ月

 京都府は、29年度第1回京都府公共事業評価に係る第三者委員会を6月5日に開く。意見聴取対象事業は、再評価の一般府道向島宇治線社会資本整備総合交付金事業(宇治市)、再々評価の京都スタジアム(仮称)整備事業(亀岡市)の2事業。
 各事業の概要等は次の通り。
 【再評価】
◆一般府道向島宇治線社会資本整備総合交付金事業
 宇治市里尻の宇治橋西詰交差点は5つの府道と1つの市道の起・終点のため、慢性的な渋滞箇所となっており、またJR奈良線と交差していることから、踏切(宇治街道踏切)の遮断による渋滞も発生している。これに加えJR奈良線の複線化により、踏切遮断時間が増加し、渋滞状況が更に悪化することが予想されていることから、立体交差化するもの。
 26年度の事前評価で採用した当初ルート(現宇治橋西詰交差点に接続する案)では、JR奈良線との立体交差は宇治公民館西側付近から、市道宇治312号線付近でアンダーパスし、宇治橋西詰交差点に接続する道路線形だった。事前評価後に交通管理者と詳細協議した結果、道路線形が急カーブになること、宇治橋西詰交差点が変則形状になることなどからルートを一部変更。宇治公民館の北側付近から西側に回り、JR奈良線の下を通過し、市道宇治橋若森線に接続する線形を採用することとなった。市道との交差点部には信号機を設置する。
 交通管理者との協議により、信号機の動作タイミングも合わせて見直し。宇治橋西詰交差点での滞留長を確保する位置を新設交差点とすることで、道路線形にも優れ、最も渋滞の緩和が期待できる「交通流を考慮した上で交差点を新設する案」を最良案と判断。第三者委に諮ることとなった。
 事業箇所は宇治市里尻。延長は460m(府道290m+市道170m)、幅員は一般部が9・5m(車道3・0m×2車線、路肩0・5m×2、片側(西側)歩道2・5m)。JR立体交差部が7・0m(車道3・0m×2車線、路肩0・5m×2)、6・5m(車道3・0m×1車線、路肩0・5m×2、片側歩道2・5m)。
 全体事業費は29億円(うち用地費7億3000万円)。28年度末投資累計額は6000万円(うち用地費はゼロ)。進捗率は2%。残事業費は28億4000万円(うち用地費7億3000万円)。支障物件数は18件。
 26年度に事業着手し3年が経過。34年度の完成供用を目指す。
 山城北土木事務所は、28年度に1000万円を充て、地盤調査(担当は関西土木技術センター)、道路詳細設計(担当はウエスコ)を進めた。
 事業進捗の見込み等によると、29年度は用地測量と物件調査を進めるとともに、詳細設計を西日本旅客鉄道梶iJR西日本)に委託する。29年度の事業費は4000万円。30年度以降に用地買収を進め、31〜33年度に工事(JR交差部ボックスカルバート工事等)、34年度に舗装工事を進める。
 【再々評価】
◆京都スタジアム(仮称)整備事業
 スタジアム建設予定地は亀岡市追分町の亀岡駅北土地区画整理事業地内。JR亀岡駅から亀岡駅北線道路沿いに約280m、徒歩4分程度。区画整理事業地のうち、現在供用中の都市計画亀岡駅北線をJR亀岡駅ロータリーとの交差点から市道保津橋追分線との交差点までの間を北側に移設し、その都市計画道路と区画整理事業計画で予定されている東・西・南の街区道路で囲まれた区域の約3・2fを建設用地として予定している。
 スタジアムの観客席数は2万1500席程度(日本サッカー協会が規定する収容規模のクラス1に対応。AFCチャンピオンズリーグ、日本代表の公式、親善試合が可能で、J1及びJ2の試合開催が可能)。フィールドは126m×84m(サッカー、ラグビー、アメリカンフットボールなどの球技が可能)。
 建築面積は約1万5500u。階数は4階建(高さ28m)。構造はRC造一部S造。
 年間集客数は約26万人を想定する。スタジアムを訪れる観客についてはJR等の公共交通機関の利用を促す。役員や選手、報道等の関係者の駐車場はスタジアム敷地内に確保する。
 アユモドキ等に良好な生息環境の形成及び保全策は、▽基礎杭はセメントミルクを使用しない無排土鋼管杭埋設工法を用い、騒音・振動・地下水の汚濁を可能な限り抑える▽屋根・外壁などで外部空間との間仕切りを可能な限り設置し、遮音性を高める▽照明器具は屋根先端から5m程度中側の屋根裏面に設置し、光源が建物外部に出ないようにする▽建物による日陰が広範に生じないよう、勾配屋根を用いた意匠とする。
 このほか、基礎構造物の掘削土のフィールド盛土への転用、コンクリート打設を最小限に抑えられるプレキャストコンクリート構造部材の使用などを予定。
 現場に出入りする工事車両は京都縦貫道亀岡インターや大井インターから国道9号、府道郷ノ口余部線宇津根橋を経由し、府道亀岡園部線保津橋に至るルートでアクセスすることを基本とする。
 スタジアムに埋設する鋼管杭は、管径φ508o、杭長9〜11m、総量720本を予定。
 基礎杭埋設工事は、これまでの河川改修工事における施工状況などのデータを踏まえ、環境保全専門家会議の意見・助言をもとに施工時期を決定する。
 施工能率は先行掘削機8・0ヵ所/台・日(1日2台が施工)、杭打機5・5本/台・日(1日2台が施工)。1日の施工量は杭打ち本数11本。
 雨水排水対策では、スタジアム工事中の濁水は仮沈砂池で処理し、排水幹線ルートを通じて雑水川に排水する。グラウンド部(約1f)や敷地内で駐車場に利用する場所、観客等が滞留する広場などで雨水貯留浸透機能を有した舗装、排水路等の整備を図り、排水先の雑水川への雨水流出の抑制、地下水への涵養に努める。
 景観対策では、勾配屋根の採用のほか、保津川下りの「浮船」を連想させる逆台形のシルエットと町家の「垂木」をイメージする軒天井を設ける。
 スタジアム建設工事費は130億円、用地費は13億7000万円、設計費等は3億3000万円。28年度末投資額累計は1億円。進捗率は1%。残事業費は146億円。
 27年度に事業着手し2年が経過。31年度の事業完了を目指す。
 今後のスケジュールによると、公共事業評価に係る第三者委に諮った上で、用地取得を進める。8月頃から入札・契約手続きを進め、工事契約案件は12月議会に提出する予定。その後、建設工事は30年1月頃から31年8月末頃まで20ヵ月の工期を想定する。
 実施設計等業務は東畑建築事務所大阪事務所(大阪市中央区)と1億1880万円で契約。同社の提案によると、建物の規模は延約3万3000u。整備が見込まれる主な施設及び設備の仕様によると、施設内容として全席を覆う屋根、ゼロタッチの観客席(ゴールラインとの距離10・5m、タッチラインとの距離8m、観客席とピッチとの高低差1m)。座席内容は座幅45p、座間隔47p(跳ね上げ式)。大型映像装置、照明1500ルクス以上。このほか、太陽光発電、LED照明器具の採用、府内産木材活用(「木ルーバー」や内装使用)、ニュースポーツ(クライミングウォール)、防災備蓄倉庫、商業ゾーン、芝管理(日照、通風、散水の確保)。
 京都スタジアムの運営権PFI事業導入可能性調査業務はPwCアドバイザリーが担当。