トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(中部)
2017/05/18

【岐阜】西濃地区の岐阜県2事務所 2017年度事業展望

 西濃地域の強靱(きょうじん)な国土づくりや地域住民の安全・安心を確保するため、さまざまな事業を進める西濃農林事務所と大垣土木事務所。両事務所の所長に2017年度の主要事業などを聞いた。(聞き手は岐阜支局=村上周平)
<西濃農林事務所・大澤哲夫所長インタビュー>
―17年度の予算規模は。
 「農業農村整備事業の当初予算は約22億4000万円。県営分が9事業22地区で約10億7000万円、団体営分が4事業330地区で約11億7000万円を見込んでいる。また16年度繰越予算が県営6事業11地区で約12億4000万円あり、当初分と合わせると約34億8000万円となる。この他、治山事業として当初予算が14カ所で約3億円、16年度繰越予算が3カ所で約7000万円の合計約3億7000万円。林道事業として、県営関ケ原林道など3路線で約9000万円、16年度繰越予算が1カ所で約3000万円、合わせて約1億2000万円となる」
 ―主要事業について。
「海津市などで暗渠排水事業5地区を実施する他、垂井町で栗原地区ほ場整備を継続する。かんがい排水事業を安八町や大垣市内で進める他、大垣市の農業用排水機場3地区で施設更新を進める。治山・林道事業では、新たに大垣市や垂井町などで予防治山事業や治山施設機能強化事業、森林保育事業を含め10カ所着手する他、林道・作業道整備を進める。また海津市と関ケ原町をつなぐ広域農道が全線開通する」
 ―新規事業着手箇所は。
 「県営かんがい排水事業で、大垣市の入方用水地区の用水路補修に着手する。中山間地域総合整備事業で関ケ原地区の用排水路、農道、ほ場整備、暗渠排水、集落排水、集落防災の整備、特定農業用管水路等特別対策事業で海津市土倉地区、福江地区で農業用石綿セメント管水路敷設替えに着手する。予防治山事業では大垣市上石津町の南屋敷の山腹工と谷止工、ばんが谷の谷止工と護岸工、垂井町北山の山腹工に着手する。また治山施設機能強化事業で垂井町権現山の谷止工を、県単治山事業で大垣市上石津町の和田で谷止工、関ケ原町の上羅で山腹工、海津市南濃町の腰越谷で排土工に着手する。その他、森林保育事業を養老町の段之尻と関ケ原町小栗毛・大栗毛で行う」
 ―18年度の新規事業採択に向けた要望について。
 「県営かんがい排水事業では大垣市内の柿之木戸用水2期地区の用水路補修と青野地区の排水路改修、海津市田鶴地区のかんがい用排水ポンプの改修、経営体育成基盤整備事業では輪之内町の楡俣北部地区のほ場整備と、合わせて4事業について新規採択へ向けて準備を行いたい」
 ―建設業に対してメッセージ。
「日頃から災害時の応援や水防活動など尽力いただいている。1月に山県市で発生した高病原性鳥インフルエンザの防疫措置にも協力いただき感謝している。鳥インフルエンザの埋却作業は、県建設業協会と協定を締結することになった。今後とも地域住民と農家の生活を守るためにご支援、ご協力を賜りたい。県土の8割を占める森林には水源かん養機能や土砂流出防止、水質浄化など多面的な機能があり、建設業界の力添えが無ければ、これらを保持・保全することはできない。今後もコミュニケーションを密にして事業を推進していきたい」
<大垣土木事務所・冠者信男所長インタビュー>
―事務所の課題は。
 「東海環状自動車道が最重要プロジェクト。未開通区間の早期全線開通を国に要請しており、開通時期を見据え岐阜関ケ原線の神戸町丈六道工区や養老平田線の養老町石畑工区などアクセス道路整備を推進する必要がある。また管内の国道21号や岐阜垂井線、大垣一宮線、大垣江南線には渋滞ポイントが点在しており、交通渋滞が多発する。交通容量を拡大に向け早急な整備が重要だ」
 「西濃地域は、過去に多くの洪水による浸水被害が発生している。近年の局地的・集中的な豪雨の影響から、命と暮らしを守る安全・安心な「清流の国ぎふ」づくりとして『新五流域総合治水対策プラン』などに基づく抜本的な治水・土砂災害対策が求められる。その他、河川構造物や砂防施設の計画的・効率的な維持管理を実施し、施設機能の長期保持を図る必要がある」
 「南海トラフ巨大地震などの超広域災害に備え、緊急輸送道路の道路拡幅や橋梁耐震、斜面対策などが急務となっている。また県管理道路の安全・安心を確保に向け、管内410`の県管理道路(国道2路線、主要地方道13路線、一般県道35路線、橋梁約470橋)を適正に管理していく必要がある」
―主要事業について。
 「道路事業の大垣江南線では、大安大橋から東に向かって県道安八平田線までの約1`区間の丈量測量、用地買収を進める。岐阜関ケ原線は、養老鉄道踏切による慢性的な渋滞の解消、東海環状自動車道大野神戸ICへのアクセス道路として早急な整備が必要だ。踏切の立体化および4車線化の整備では16年度に跨線橋の下り側2車線が完成し開通となった。17年度は、上り側の下部工工事および道路改良工事を実施する。東海環状自動車道西回り区間の養老ICへのアクセス道路として整備を進めている養老平田線では、引き続きIC以西の歩道設置や舗装工事を実施する」
 「河川事業では、大谷川の洗堰の改修を図るため菰田橋の架け替え工事を進める他、JR東海道本線の橋梁の嵩上げのための調査を継続する。杭瀬川は17年度は陸閘の設置、赤坂工区で用地調査等を実施する。水門川では総合的な治水対策として、洪水調節池の埋蔵文化財調査を進める他、旧水門川排水機場の施設更新を行う。大江川は、海津市馬目地内で10年8月にアオコが大量発生・腐敗し、悪臭による住民の苦情が寄せられるなど河川環境面での問題が発生した。『清流の国ぎふづくり大江川環境対策協議会』の検討結果に基づき、水質浄化対策を継続して実施する」
 「通常砂防事業では大垣市上石津町の乙坂一の谷で引き続き工事を進めるとともに、急傾斜地崩壊対策で関ヶ原町今須地内の西谷2地区で工事を実施する。また海津市南濃町の志津北谷で堰堤改築工事を行う」
 「橋梁の耐震補強では、大垣一宮線の水門川に架かる高橋の耐震補強を実施する」
「通学路の交通安全対策では、南濃関ヶ原線の養老町柏尾地内で歩道設置工事を実施する。また国道365号の上石津トンネルが供用開始後約30年経過しているため、12年度から補修・更新を順次進めている。17年度は非常用設備更新工事を実施する」
― 建設業に対してメッセージ。
 「景気は回復傾向にあるが、少子高齢化によりの人材獲得が厳しくなっている。建設業の魅力を広くPRしていただき、若い人や女性を始め、人材確保に努めてもらいたい。また災害や異常気象が頻発する中、社会資本整備や強靱な国土づくりの推進は喫緊の課題であり、住民の生命や暮らしを守るために最も必要なのは地域の建設業の人たちの力である。若い人がたくさん集まる活気ある業界となってほしい」

提供:建通新聞社(2017/05/18)