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建通新聞社(東京)
2017/05/23

【東京】入契制度改革知事ヒアリング 業務に最低制限価格検討も

 東京都の小池百合子知事は、5月22日に実施した入札契約制度改革に伴う建設関係団体へヒアリングで、委託業務に最低制限価格制度を適用するよう多くの意見が出されたことに対し、「(今後開始する)工事での試行を踏まえ(導入を)検討したい」との意向を示した。
 22日のヒアリングに参加したのは、建設系委託業務に携わる▽建設コンサルタンツ協会関東支部▽東京都建築士事務所協会▽東京建築士会▽日本建築家協会関東甲信越支部▽東京都測量設計業協会▽東京都地質調査業協会―の6団体と、物品委託などに関する▽東京都印刷工業組合▽東京グラフィックサービス工業会▽東京ビルメンテナンス協会▽東京道路清掃協会▽東京都造園緑化業協会―の5団体。入札契約制度改革の実施方針の試行対象となっていないものの、今後の見直しの参考とするために知事が意見を聞いた。
 建設系委託の6団体は、いずれも公共工事の品質確保には、上流部となる調査や設計といった業務の品質確保が重要だと強調。都が総合評価方式など価格以外の要素も反映した調達方式を拡大していることを評価する一方、依然として多くの案件が価格競争であり、採算を度外視したような低価格での応札も見受けられると指摘し、低入札価格調査制度や最低制限価格制度の導入を強く求めた。
 建築設計3団体は、工事を対象とした入札契約制度改革の大まかな方向に賛同する一方、低入札価格調査制度の適用拡大について「われわれが長く求めてきた適正な予定価格と最低制限価格の設定に相反するものだ」と述べ、反対の姿勢を明確に打ち出した。
 建設コンサルタンツ協会は、低価格での受注が可能な現在の入札契約制度では「適正な収益の確保が困難で、技術の継承や品質確保に支障を来している」と問題点を指摘。「設計条件や数量の明示、予定価格の公表など情報公開の徹底」「ダンピング受注の防止策」が必要だとした。
 測量設計業協会は、測量業務の成果はインフラ整備だけでなくその後の維持管理にも大きく影響すると説明。過度な価格競争は企業の疲弊・衰退と品質低下をもたらすと警鐘を鳴らし、「技術力を重視した総合評価方式の適用拡大」「担い手や適正な利潤の確保につながる最低制限価格制度の適用」の必要性を訴えた。
 地質調査業協会も、近県の自治体で業務委託に低入札価格調査制度や最低制限価格制度が導入され、適正な業務履行の確保に成果を挙げていると指摘。「魅力ある東京都の仕事を通じ、若い力を発揮できる環境を整える」ため、最低制限価格の導入を要望した。
 この他、東京ビルメンテナンス協会も適正な予定価格の設定とダンピング受注の防止策の必要性を強調。造園緑化業協会は「予定価格の事後公表、最低制限価格の設定を主とする現行制度の維持」を求めた。
 これらの声に対し、小池知事は「公共調達の品質を確保するため、予定価格を適切に設定することは当然だ」と述べるとともに、最低制限価格が品質の確保や担い手の確保に一定の役割を担ってきたことを認めた上で「工事での試行を踏まえ、(最低制限価格制度の導入を)検討したい」との意向を示した。

提供:建通新聞社