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建通新聞社(中部)
2017/05/19

【三重】県が「太陽光発電施設の適正導入に係るガイドライン」まとめる

 三重県雇用経済部は、太陽光発電施設の適正導入を図るため、事業者に計画段階で事前説明を求める事項などを明示した「三重県太陽光発電施設の適正導入に係るガイドライン(案)」を取りまとめた。6月12日まで意見を募集し、6月の県議会常任委員会への報告を経て、6月末までに策定する方針だ。
 太陽光発電など再生可能エネルギーについては、2012年7月に「再生可能エネルギー固定価格買取制度」(FIT制度)が導入され、全国的に太陽光発電の導入が急速に進んだ。三重県でも「三重県新エネルギービジョン」(16年3月改定)の中で、太陽光発電について、30年度までに219・3万`hの導入を目標とし、15年度末に97・5万`hの実績を挙げている。一方、計画段階での情報提供の不足や、自然環境の保全や景観への影響の懸念から反対運動が起きるなどの問題も発生し、対応が求められていた。県では、三重県環境影響評価条例を改正し、一定規模以上の造成を伴う太陽光発電事業も「準対象事業」とすることとし、16年9月から適用し、さらに、景観法に基づく三重県景観計画の届け出制度に太陽光発電パネルの面積(1000平方b超え)を追加し17年4月から適用し、環境、景観面に配慮した制度改正を行った。国においてもFIT法改正(4月施行)により、地域との共生を図るため、関係法令、条例違反に対して、認定取り消しも可能とするとともに、同法に基づく国のガイドラインを3月に策定している。
 県では、こうした国の制度改正などに併せて、国のガイドラインを補完する目的で、県のガイドラインを策定した。順守事項は国のガイドラインとの整合性を図り、計画段階で事前説明を求めるなどの順守事項や、防災、環境保全、景観保全等の観点からガイドライン独自の区域を設定し、土地の選定、開発計画の策定を求めるなどの内容とした。
 ガイドライン(案)の主な内容を見ると、適用対象施設は、三重県内に設置する太陽光発電施設で、施設規模は出力「50`h以上」。ただし、規模が基準未満でもガイドライン適用が望まれるものとした。なお、市町の独自の条例などに適用されている場合は原則、適用外とする。適用は、ガイドライン施行後にFIT法などに基づく認定申請を行う案件から対象とする。ただし、稼働済みの案件についても、運用・管理時、撤去・処理時に対応を求めるものとした。
 具体的には、@「企画立案時」に、関係法令、条例の順守を求めるとともに、各法律・条例に基づき、発電設置に適さない区域を設定することで、事前の検討を促した。例えば、「自然公園法」では、特別保護地区、第1〜3種特別地域を「設置するのに適当でない区域」とし、普通地域は「設置するのに十分な検討や調整が必要な区域」と分類した。その上で、「事業概要書」の提出、市町への相談、地域住民とのコミュニケーションを求めた。A「設計・施工時」には、関係法令などに沿った設計、施工。周辺環境への配慮を求めた。さらに、事業進捗に合わせてB「運用・管理時」、C「撤去・処分時」の各段階での順守事項を定めた。
 県側は、事業者からの相談を受け、助言などを行う一方、不適切案件については、必要に応じて国への相談を行う―ものとした。

提供:建通新聞社