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北陸工業新聞社
2017/05/15

【石川】宝達志水町長/寳達典久氏/最年少首長、停滞感打破へ/保育所・小学校統廃合は再検討/民間資金活用で宅地開発など

 3月の宝達志水町長選で、現職を破り初当選を果たした寳達典久氏。39歳という県内自治体最年少の首長としてのかじ取りがスタート、1カ月余りが経過した。「明るく活力ある町づくりを進め、停滞感を打破したい」と語る寳達氏に今後の町政の方向性や施策を聞いた。

 6年余り務めた町議から、行政のトップへと立場が180度変わった。「責任の重さが全然違う。安定した町政運営に取り組まなければいけないと強く思っている」と気を引き締める。
 選挙戦で争点にもなっていた保育所と小学校の統廃合問題については、計画をいったん白紙に戻し、再検討する方針を示している。「地元の合意形成がもう少し必要だと感じている。出生率がもっと減少していくことになれば、誰もが統合が必要と考える時期が来る」と述べ、「そうならないように、定住対策、子育て支援策に積極的に取り組んでいく」と力を込める。
 これまでの計画では、保育所は来年4月に北大海第1と宝達を相見に、中央を南部にそれぞれ統合。小学校は19年4月を目標に押水第1、宝達、相見3校を相見に、樋川と志雄を志雄に集約する予定となっていた。今年度の骨格当初予算には統廃合の関連事業費が計上されていたが、予算執行はせず、今後は地域住民の意見を聞くことに注力していく。
 限られた財源の中、民間の資金やノウハウを生かした施策も積極的に展開していきたいと考えている寳達氏。現在、今浜にある旧町営住宅跡を宅地に利用することを条件に売却する計画を進めている。「今後はこれをモデルケースに、他の遊休地でもできるかどうか検討していきたい」
 町内には、今月1日に旧志雄中跡地で開院した宝達志水病院の隣接地や、旧志雄病院の用地など比較的まとまった町有地がある。今後、新たな宅地開発や、ドッグランを併設した新たな憩いの場の整備も視野に活用方法を模索していく。
 交通の安全・安心の確保やアクセスの向上にも力を入れる。「ふるさと農道の整備を検討していきたい」と話し、同道路で未着手区間となっている北川尻〜米出間の早期事業化に意欲を示す。景観を良くするため「デザイン性のある街灯の設置」なども考えている。防災面では「集落レベルで組織を充実させたり、訓練回数を増やしたりして、実際の災害に対応できるよう取り組む」。
 活気ある町づくりに向け、「マラソン大会を開催したい。海と山を広く使ったコースで実現できれば」との構想を描く。スポーツだけでなく、季節に応じたイベント、歴史的な遺跡や文化財なども積極的にPRしたい考えで「末森城跡をもっと広めて、全国から人を呼び込むことができれば」という。
 6月8日には、町長就任後初めての町議会定例会に臨む。「若いということは経験不足で未熟。それを自覚して謙虚にやっていきたい」とし、『町民ファースト』の精神を胸に全力で町政運営を担う決意だ。

ほうだつ・のりひさ 1978年生まれ、大阪大基礎工学部卒。実家の八幡神社で神職として奉職し、11年から町議。今年3月の町長選で初当選した。

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