南阿蘇鉄道の全線復旧・復興に向け、株主の5町村や県らで組織する「再生協議会」が4月28日に県庁で初会合を開き、国に対して更なる支援を求め、スピード感を持って取り組んでいくことを申し合わせた。会議後の記者会見で南阿蘇鉄道鰍フ津留恒誉専務取締役は、詳細設計を含めた整備主体等について現在、国土交通省と議論していると明かした。
協議会には、南阿蘇村の吉良清一村長、高森町の草村大成町長、山都町の岡本哲夫副町長(代理)、西原村の内田安弘副村長(代理)、大津町の家入勲町長、熊本県の田嶋徹副知事のほか、オブザーバーとして国土交通省鉄道局が出席した。会長に就いた田嶋副知事は「南阿蘇鉄道は沿線地域の重要な交通手段であり、観光資源としても大きな役割を担っている。国からの支援を受けながら、短期間での再生を果たしたい」と話す。
今後、協議会では@全線復旧に関する検討A創造的復興に向けて接続可能な運営を担保するための計画策定B全線復旧を見据えた地域振興や沿線地域の賑わい創出などを議論していく。会合は月1回のペースで行う。
南阿蘇鉄道は、高森駅から立野駅までの全長17・7`。昨年7月に高森駅から中松駅までの7・2`で運行を再開したが、中松駅から立野駅間10・5`は現在も運行を休止している。特に立野駅〜長陽駅間4・7`は橋梁2橋、トンネル2カ所、擁壁等損傷7カ所、斜面崩壊11カ所と甚大な被害を受けている。
国土交通省鉄道局の調査結果によると、復旧期間は詳細設計から工事までを含め5年程度、復旧費は最大70億円と試算している。具体的な復旧期間と復旧費は▽第一白川橋(全長166b)=5年程度、約40億円▽犀角山トンネル(125b)、戸下トンネル(904b)=3年程度、約20〜25億円▽立野橋、擁壁損傷・斜面崩壊等(18カ所)、軌道の変状等(20カ所)=1年程度、約5億円。
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