17年春の叙勲が発表され、新潟県森林組合連合会の副会長である小熊順一氏が旭日双光章を受章した。会の経営改善、提案型集約化施業の実施、森林施業プランナーの育成、人材確保・雇用拡大などに取り組んできた功績が認められた。
「経済不況と木材価格の低迷により苦労してきたが、林業に対する夢は持ち続けてきた。受章は光栄であり、大変名誉」と感謝の言葉を述べる。林業の発展に向け、まい進してきた。「若いころから『木は生き物だから手を抜いてはならない。心の余裕、愛情がないと木は育たない』と教え込まれてきた」と原点を振り返る。
戦後に植えた木が育ち、国内の人工林は1000万ヘクタール、9齢級(41−45年生)以上が50%以上備蓄されている状況。「CLT(直交集成板)、バイオマス事業の木質チップは木材の消費拡大に期待できる。近い将来、世界の経済成長に伴い、木材が日本の輸出産業に貢献する時代が来る」と分析する。
地域林業の活性化の基本は人材育成と強調。優秀な人材を確保するため、代表理事組合長を務める中越よつば森林組合では、県内22森林組合で唯一、作業班員にも月給制雇用を導入。技術向上や業務改善、雇用拡大などの好循環が生まれているという。「林業先進地のヨーロッパは、自然を相手に国土を守る林業に誇りを持っており、衝撃と感銘を受けた。日本の林業も誇りを持てる職業にしたい」と意欲を燃やす。
profile
おぐま・じゅんいち 1940年8月生まれ。76歳。長岡市出身。東京農業大学農業科卒。11年6月から現職。中越よつば森林組合代表理事組合長、新潟県竹産業振興会長、全国林業政治連盟新潟県支部副支部長などを兼任。14年に緑化功労者表彰(農林水産大臣賞)、15年に新潟県知事表彰(農林水産功労)を受賞。