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日本工業経済新聞社(茨城)
2017/04/26

【茨城】強い県土へ豪雨対策推進

 県土木部は、災害に強く、誰もが安全・安心に暮らせる県土づくりに向け、現状と課題、目指すべき方向性についてまとめた。このうち豪雨から人命・財産を守るための治水対策では、鬼怒川緊急対策プロジェクトなどの取り組みとともに、近年の被災箇所や人家集中箇所などの河川整備を重点的に実施していく。土砂災害対策では、緊急性・公益性の高い箇所を優先的に整備するほか、土砂災害防止施設の劣化度を調査し、長寿命化計画を策定する。
 県は豪雨から人命・財産を守る対策として、治水対策と土砂災害対策を実施している。
 このうち治水対策では、国の「水防災意識社会再構築ビジョン」に基づき、ハードとソフトの対策が一体となった鬼怒川緊急対策プロジェクトを推進。県では、2017年度内の完成をめどに八間堀川の整備を進めるとともに、国が進める鬼怒川の堤防整備に向けた土砂確保や用地取得について積極的に支援する。
 また、県管理河川の減災対策協議会を本年5月末までに設置し、本年度中に減災のための地域の取り組み方針の策定を進める。総合治水計画では、河川改修などの流す対策のほか、調整池やため池などを活用した貯める対策や備える対策を連携させた対策について検討していく。
 河川整備は、近年の被災箇所や人家集中箇所などで重点的に行い、15年度末で1451q中498qが整備済み(整備率34・3%)となっている。土砂堆積などにより流れが阻害されている箇所については、河川緊急減災対策事業を活用し、土砂撤去などを集中的に実施している。
 県管理河川の排水機場など12施設は、12年度に策定した長寿命化計画に基づき施設を修繕・更新。このほか樋管などの管理者調査をしているほか、雨量や推移情報の配信を行うとともに、新たな洪水浸水想定区域図の作成を行っている。
 土砂災害対策では、緊急性・広域性が高い箇所の整備を優先的に進めており、16年度末で1582カ所中379カ所が整備済み(整備率24%)となった。また全体の7割を占める建設から20年以上経過している土砂災害防止施設の中には、老朽化が著しい施設があることから、長寿命化計画の策定に向けた施設の劣化度を調査している。
 このほか2016年度末で3989カ所を土砂災害計画区域などに指定したほか、土砂災害が発生する危険性に関する情報を提供している。
 今後は、緊急性や重要性が高い箇所の重点的な整備や総合治水計画の策定と減災対策協議会などを通した有効な対策の県内中小河川への展開を図る。また定期点検結果などを踏まえた補修などの適切な維持管理と施設管理者への指導を行うほか、長寿命化計画を策定・更新し、計画的な維持管理に努め、分かりやすい情報提供と防災意識の向上を図る。