建設新聞社
2017/04/25
【東北・秋田】秋田県・秋田市連携文化施設の基本設計 佐藤総合・小畑JVを特定
秋田県と秋田市は22日、共同で建設する県・市連携文化施設の基本設計公募型プロポーザルについての公開プレゼンテーションを秋田市庁舎内の中央市民サービスセンターで行い、佐藤総合計画・小畑設計事務所JVを最優秀提案者に特定した。契約は月内にも結ぶ予定。優秀提案者は日建設計・コスモス設計JV。
プロポーザルには9JVが参加。1次審査で選ばれた5JVがプレゼンした。選定委員会は、学識経験者と利用者代表、県・市職員の計7人で、委員長は東京都市大学工学部の勝又英明教授。講評では、バランスの取れた使いやすい配置、景観にマッチした外観デザイン、二つのホールの並行した配置や、道路側に賑わいを感じさせる諸室を集中した点、ホールの見やすさや聞きやすさ、使いやすさへの配慮の高さなどを評価のポイントに挙げた。
同JVの提案は、建物の周囲を水平庇が特徴の低層部で取り囲み、大小2つのホールを中央に配置し、1階の中土橋通り側に芸術文化の活動空間「秋田小路」を設けるプラン。水辺側にはテラスを設けて散策ルートも作る。講評では、平面上はオーソドックスだが、深い庇が概観に特徴を持たせ、日照を遮る効果もあるほか、フライタワー(舞台上部の空間)の高さの印象を感じさせにくくするとした。
道路側に設ける「秋田小路」には創作室・研修室・練習室や、情報・展示・大型映像・カフェ・レストランを集約。芸術活動が施設外部からも垣間見え、日常的に立ち寄りやすい施設を目指す。この配置には審査時から「秀逸」と評価する発言もあり、勝又教授は「これらの機能の配置は難しいポイントだった。施設の外から分かる場所にこれらを集めることで、ホールの稼働時以外にも賑わいを演出できる」と説明した。
エントランス中央の吹抜空間「アートキューブ」にはメインの縦動線を設け、この空間の両側に配置した2つのホールに来館者を導く。ホワイエは「アートキューブ」によって穏やかに分離され2ホール同時利用の際の混雑を防ぐほか、「秋田小路」も客だまりにできるとしたが、一方で、もぎりラインがあやふやな点が課題と指摘されている。
ホールについては、大小2つのホールを背中合わせに配置する案が多い中、並行に配したのは5つの提案の中で同JVのみ。「県と市の施設が仲良く並んでいる印象」と評された。大ホールの客席は2層で、バルコニー席も含め客席が舞台に正対している点や、音響設計への配慮の高さが評価されたほか、楽屋が舞台背後に配置され、搬出入口も使いやすいなど、演者側への配慮も大きな評価のポイントになった。
また、土塁や樹木を極力残して歴史的景観を効果的に生かすほか、既存敷地のレベル差を有効活用することで掘削量を抑え、総地下にする場合に比べて事業費や土工事期間を縮減できるとした。
施設の予定地は、秋田市千秋明徳町地内に建つ秋田市県民会館の敷地1万3467平方bと、隣接する秋田和洋女子高校の校舎敷地3283平方bの計1万6750平方b。県民会館跡地に新文化施設、校舎跡地に駐車場を設ける。
プロポ開始時に示した計画では、施設は2万1500平方b程度を想定。ホールは高機能型ホール約6500平方b(2000席)、舞台芸術型ホール約3400平方b(800席)を設ける。予定工事費は約180億円。駐車場はS造2480平方b程度、1層2段の自走式を想定し、駐車台数は250台程度。駐車場と外構の工事費は約6億円を見込む。
基本設計の契約限度額は1億3542万8760円(消費税額および地方消費税額を含む)で、履行期限は2018年1月25日まで。実施設計は基本設計受託者と随意契約する意向で、同年12月までに実施設計を終え、19年度から21年度の工事を目指す。
施設整備計画策定業務はシアターワークショップが担当した。
提供:建設新聞社