三重県健康福祉部は、2025年度の県内における医療提供体制の在り方を示す「地域医療構想」を策定した。各地域で回復期などの各医療機能について、将来の医療体制の必要量を検討したもので、25年度の県全体の必要病床数を1万3584床とした。15年度の病床機能報告による病床数が1万6453床あることから、現状に対して、2869床少ない目標設定になる。
同構想の策定では、15年度に8区域に設置した構想調整会議で地域ごとの医療需要を踏まえて、現状分析、医療提供の方向性などを協議し、16年度に各区域の必要病床数などを踏まえた最終案を作成した。目標値がマイナスとなったことについて、同構想では、実質的に稼働していない病床もあるものの、今後、老齢人口の増加に伴う疾病構造の変化や、在宅医療の増加が見込まれることから、「あくまでも地域における医療機能の分化・連携を進めるための目安」とし、「病床を強制的に削減していくという趣旨ではない」と示し、地域の実情に合わせた施策に取り組むものとした。
構想区域については、現行の2次保健医療圏(4医療圏)をベースにして、県内を8区域(地域医療構想区域)に分けた。各区域の状況と目標値は次の通り。(病床数は一般病床・療養病床の数)
〈桑員区域〉
区域内の医療提供体制(16年10月時点)は、病院が17施設(1766床)、診療所が132施設(142床)。
構想で示された25年度の必要病床数は、1548床で、15年度(7月時点)の病床数(許可病床数)の1865床と比較すると317床が過剰となっている。なお、病床の整理計画で271床が提出されており、15年度の病床数から削除される。
医療提供体制の方向性を見ると、桑名東、桑名西、桑名南医療センターの3病院が統合され、18年4月に桑名市総合医療センター(400床)が開設される。厚生連いなべ総合病院については、厚生連菰野厚生病院との経営統合の可能性が検討されていることを踏まえた検討が必要とした。
〈三泗区域〉
区域内の医療提供体制(同)は、病院が16施設(2709床)、診療所が303施設(159床)。
構想で示された25年度の必要病床数は、2527床で、15年度(同)の病床数(同)の2809床と比較すると282床が過剰となっている。なお、病床の整理計画で71床が提出されており、15年度の病床数から削除される。
医療提供体制の方向性を見ると、厚生連菰野厚生病院について、厚生連いなべ総合病院との経営統合の可能性が検討されていることを踏まえた検討が必要とした。
〈鈴亀区域〉
区域内の医療提供体制(同)は、病院が12施設(1767床)、診療所が289施設(156床)。
構想で示された25年度の必要病床数は、1659床で、15年度(同)の病床数(同)の1870床と比較すると211床が過剰となっている。なお、病床の整理計画で30床が提出されており、15年度の病床数から削除される。
医療提供体制の方向性を見ると、亀山市立医療センターについては、急性期機能の確保とともに、回復期機能の確保を検討する。
〈津区域〉
区域内の医療提供体制(同)は、病院が24施設(3511床)、診療所が281施設(180床)。
構想で示された25年度の必要病床数は、2856床で、15年度(同)の病床数(同)の3649床と比較すると796床が過剰となっている。なお、病床の整理計画で34床が提出されており、15年度の病床数から削除される。
〈伊賀区域〉
区域内の医療提供体制(同)は、病院が6施設(1003床)、診療所が139施設(78床)。
構想で示された25年度の必要病床数は、909床で、15年度(同)の病床数(同)の1056床と比較すると147床が過剰となっている。
医療提供体制の方向性を見ると、急性期機能を充実させることが必要で、三つの基幹病院の急性期機能の集約化、または統合の検討も想定される。
〈松阪区域〉
区域内の医療提供体制(同)は、病院が11施設(2072床)、診療所が195施設(156床)。
構想で示された25年度の必要病床数は、1837床で、15年度(同)の病床数(同)の2230床と比較すると393床が過剰となっている。なお、病床の整理計画で37床が提出されており、15年度の病床数から削除される。
医療提供体制の方向性を見ると、三つの基幹病院の急性期機能について、将来における集約化なども想定される。
〈伊勢志摩区域〉
区域内の医療提供体制(同)は、病院が9施設(1845床)、診療所が218施設(257床)。
構想で示された25年度の必要病床数は、1687床で、15年度(同)の病床数(同)の2070床と比較すると383床が過剰となっている。なお、病床の整理計画で70床が提出されており、15年度の病床数から削除される。
〈東紀州区域〉
区域内の医療提供体制(同)は、病院が5施設(851床)、診療所が76施設(15床)。
構想で示された25年度の必要病床数は、561床で、15年度(同)の病床数(同)の904床と比較すると343床が過剰となっている。なお、病床の整理計画で34床が提出されており、15年度の病床数から削除される。
提供:
建通新聞社