京都市域における集中的な森林整備に向けた検討会議は19日、大規模集約型林業のモデル実施などを盛り込んだ提言書を門川大作京都市長に提出した。
同会議の構成員は、京都府森林組合連合会の青合幹夫代表理事会長(副委員長)、京北森林組合の北川義晴代表理事組合長、王子木材緑化椛蜊緕x店の近森正俊取締役支店長、京都市森林組合の吉田英治代表理事組合長、京北木材業協同組合の四辻均代表理事、京都大学フィールド科学教育研究センターの長谷川尚史准教授(委員長)ら。
28年9月に検討会議の初会議を開き、所有者の所在の把握が難しい森林への対応、集約型林業を進める上での団地設定や具体的な取り組み例など計3回の議論を行った。
京都市内に森林を有する林家2109戸のうち、約6割に当たる1327戸が森林所有面積5f未満で、国の間伐に対する支援要件の5f以上を満たさず、集約化を行わなければ支援が受けられないなどの状況を踏まえ、検討会議では提言で2つのアクションを求めた。
アクション1は、大規模集約型林業のモデル実施。市内で約500〜600fのモデル地区を設定し、大規模集約型林業による集中的な森林整備を進める仕組みづくりを試行し、課題の整理と必要な対策を講じることで、市内への拡大につなげていくことが重要とした。
モデル地区で実施すべき取り組みとして、正確な森林資源情報の把握、把握した情報に基づく川上〜川下までの一貫した計画の策定、所有者調査及び境界確認、採算性が確保できる規模の森林の集約化、林業事業体への長期経営委託の促進、集約型林業の実施に必要なイニシャルに係る支援の強化、集約型林業を担う事業体の育成、担い手の育成などを挙げた。
アクション2は、大規模集約型林業を市内一円に広げていくための制度改革。所有者と連絡が困難な森林を第三者が整備することについては、財産権の問題など多くの課題がある。今後、専門家や関係機関と協議を重ね、個人財産権に配慮した制度設計とすることを前提に、国家要望や特区などを活用し、国へ制度改正や制度創設などの働きかけを行っていくべきとした。
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京都市が当初予算に450万円モデル地区選定や意見交換 市は、京都府の豊かな森を育てる府民税交付金を活用し、29年度予算の集中的な森林整備に向けた新たな仕組みづくりに450万円を確保した。
集中的な森林整備をモデル的に実施する地区の選定に係る調査を行い、モデル地区を選定するとともに、モデル地区の選定や今後の林業支援施策の在り方を検討するにあたり、関係団体や学識経験者を交えた意見交換会を開催する。