東京都都市整備局と新宿区は、2040年代を見据えた「新宿の新たなまちづくり」の案をまとめた。都市としての魅力や活力の低下が指摘される中で、「変え、整える」「つなぎ、広げる」「育て、伝える」の三つの視点に沿って都市機能を更新していく必要があると指摘。駅周辺の区域を新宿駅直近地区▽西新宿超高層地区▽歌舞伎町地区▽新宿駅東口地区・西新宿一丁目地区▽西新宿七・八丁目・西新宿三丁目西地区▽代々木地区―に区分してそれぞれの地区の目指すべきまちづくりの方向を示した上で、まず駅直近地区から再編をスタートさせる方針を打ち出した。都民意見を踏まえて成案を策定するとともに、今夏をめどに具体的な整備方針を策定する。
新宿駅直近地区については「交流機能と新宿の顔を備えた交通結節拠点の形成」をまちづくりの基本的な方向とする。歩行者の回遊性に配慮した交通結節機能を強化し、“顔”となる広場機能の充実と乗り換え利便性の強化に取り組む。商業機能の更新や業務機能の導入、観光機能の充実など周辺地区に波及する交流環境づくり、エネルギー・エリアマネジメントによる持続可能な環境づくりなども進める。
西新宿超高層地区は「BCP(事業継続性)を備え、にぎわいのある国際ビジネス創造拠点の形成」をテーマとする。高規格オフィスに機能更新し、ビジネス支援機能を充実させる他、地域エネルギーシステムの強化や低層部のにぎわい機能・集客機能の充実などに取り組む。
歌舞伎町地区では「国際的なエンターテイメント拠点の形成」を視野に、商業・娯楽・宿泊機能を充実・強化し“界隈性”の継承させ、安全性・防災性を高める。
新宿駅東口地区・西新宿一丁目地区については「回遊性の高い商業集積エリアの形成」を目指す。先進的な商業機能に更新しつつ、公共空間を活用してにぎわいを創出し、回遊性の高い歩行者空間を整備する。
西新宿七・八丁目・西新宿三丁目西地区では「多様なライフスタイルを支える住機能の強化」をテーマに、良質な都心居住環境の充実、生活や業務機能を支える商業機能の導入、歩行者空間の創出・拡充に取り組む。
代々木地区のまちづくりは「教育文化機能の調和した商業業務機能の強化」を目標とし、教育文化機能の充実や都市基盤施設の整備、歩行者空間の整備を展開する。
また、再編を先行する駅直近地区については、▽歩行者優先の広場への再編とバスタクシー乗り場などの効率的な配置▽敷地の再編なども視野に入れた広場機能などの整備▽駅の東西をつなぐ空間の確保▽歩行者空間の拡大による東西の歩行者ネットワークの強化▽周辺建物と一体となった駅前広場の再編と新宿の顔づくり▽まちと緑をつなぐ連携軸の形成―に取り組むこととし、今後、具体的な整備方針を定める。
提供:建通新聞社