日本工業経済新聞社(茨城)
2017/04/15
【茨城】県が国土強靭化計画を策定
県は、本年2月24日に県国土強靭化計画を策定した。この計画を基に、国土強靭化に関する施策を総合的・計画的に推進し、「強くしなやかないばらきづくり」を進めていく。計画を構成する全5章のうち、県における国土強靭化推進方針では、施策分野ごとに2020年度における数値目標を明示。街路事業改良率70%、河川改修率58・8%、下水道施設耐震化率46・3%、市街地等道路の無電柱化率45・4%などを目標に掲げた。
この計画は、大規模災害に対する生活の安全が確保され、安心して暮らし続けられる社会を実現するために策定。趣旨・位置付け、基本的な考え方に始まり、脆弱性評価、県における国土強靭化推進方針、計画推進と不断の見直しの全5章で構成している。このうち、県における国土強靭化推進方針では、リスクシナリオを回避するために必要な施策を数値目標とともに明示した。
推進方針のうち行政機能では、防災拠点となる公共施設の耐震化率を20年度までに92・4%に引き上げ。主要交差点の信号機電源付加装置は162カ所(15年度)から170カ所(20年度)に増やし、停電による信号機停止が原因の交通事故などを回避する。また災害発生時における土木施設の点検や被害確認、被害査定・設計を速やかに行うため、災害時等協力員の登録数も20人増やす。
住宅・都市・住環境では、20年の数値目標として、住宅・民間特定建築物・市町村立幼稚園の耐震化率を95%に設定。
上下水道施設の耐震化は、下水道施設の耐震化率を15年度の35・1%から46・3%まで、水道施設管路の耐震化率を14年度の48・5%から68・2%まで伸ばす。空家等対策計画は、25年度までに44市町村全てで策定し、15・9%だった大規模盛土造成地マップ公表率と67・4%だった街路事業改良率は、いずれも70%としたい考え。
保健医療・福祉では、災害拠点病院などの機能強化における数値目標として、20年度の耐震化率を明示。災害拠点病院100%、高齢者関係施設98%、障害者支援施設90・9%、児童福祉関係施設96・9%を目指す。
情報通信・交通・物流分野では、道路等の防災・減災対策や緊急輸送道路の無電柱化、港湾施設の耐震・耐波性能の強化、洪水・土砂災害・津波・高潮対策などを着実に推進。数値目標として、20年度における「復興みちづくりアクションプラン」の対象箇所の完了率84・3%、市街地等道路の無電柱化率45・4%を掲げた。緊急輸送道路(県管理)上にある橋梁(15m以上)耐震化率の目標数値は84・4%。
農林水産分野では、20年度の目標数値として、農業集落排水施設(供用開始後20年経過した施設)の機能診断の100%実施、山地災害危険地区(民有林)における治山事業の着手率43・6%、農業用ため池・農業水利施設の耐震性点検59カ所、林道橋・トンネルを対象とした72カ所の点検診断などを掲げた。
国土保全分野では、河川改修などの治水対策として鬼怒川プロジェクトの円滑な推進を掲げ、20年の河川改修率58・8%を数値目標とした。津波対策のハード整備では、防潮堤などを計画高まで整備するとともに、減災効果を目指した構造の工夫として、粘り強い構造の整備を推進するほか、耐震化などの対策を計画的かつ着実に進める。
土砂災害対策では、土砂災害警戒区域の指定率100%、土砂災害防止施設の整備率24・2%を数値目標とする。地籍調査進捗率は71%を目指す。また20年度までに7つのダムで長寿命化計画を策定する。
横断的分野の推進方針では、公共施設の長寿命化対策として、個別施設計画(施設類型ごとの長寿命化計画)策定割合100%を目標とする。