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建通新聞社(東京)
2017/04/13

【東京】都 「ホール・劇場の在り方」策定

 東京都生活文化局は「ホール・劇場等施設のあり方」を策定した。施設の改修による休館などを最小限にとどめるため、既存施設を有効活用する方針を打ち出す一方、施設や設備の老朽化に対応するため、長寿命化や機能更新、ユニバーサルデザインに基づく改修、建て替えなどの検討の必要性を明記した。
 首都圏のホールや劇場は近年、新たな施設の建設が進む一方、老朽化に伴う閉鎖や改修などが重なり、実演芸術団体が公演の場の確保に危機感を強めているという。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を「文化の祭典」とも位置付ける都は、東京の文化の魅力をさらに高め、多彩な文化プログラムを展開して国内外に発信することができるよう、ホールや劇場施設の在り方を取りまとめた。
 短期的には、国立代々木競技場や日本武道館など20年大会に向けた改修が行われる施設が長期間にわたって休館することで、供給座席数が減少することが見込まれるため、既存施設のさらなる有効活用が必要だとした。
 その実現に向け、実演芸術団体などの関係者が一元的にまとめられた施設の情報を入手できるよう、都は都内のホール・劇場などの詳細情報を簡単に検索できるデータベースを構築し、2017年度中に公開する。美術館や博物館、庭園などの都有施設についても、展示品や文化財の保護、一般利用に配慮しつつ、イベントなどで活用する考えも打ち出した。
 中長期的な視点からは、高度経済成長期やバブル経済期に建設された施設・設備の老朽化が進んでいるため、予防保全の考え方に沿って改修や建て替えといった対応の検討が必要だと指摘。今後も芸術文化の創造発信拠点としての役割を果たしていくため、安全対策に加え、長寿命化や機能更新、改修、建て替え、新設などを計画的に進めていく必要があるとした。
 その際、ユニバーサルデザインの視点を取り入れ、関係法規に沿った事業を展開する。公共施設等運営権制度を活用した事業(コンセッション方式)や、定期借地権制度を活用して民間資金を導入する方式などの導入も視野に入れる。
 また、ホールや劇場の中には、建築物として歴史的・文化的価値が高い施設もあるため、貴重な文化遺産としての保存についても検討する。

提供:建通新聞社