(一社)千葉県建設業協会の畔蒜毅会長をはじめ、副会長の橋順一氏、小宮山房信氏、石井良典氏、金城総円氏、大林正章・専務理事の三役一行は11日、県庁あいさつ回りを行い、野田勝・県土整備部長らを表敬訪問した。県土整備部会議室には野田部長をはじめ、行方寛・都市整備局長(新任)、吉田行伸・災害・建設業担当部長、清水生也次長(新任)、柴田利雄次長(新任)、保坂隆次長(新任)、麻生孝次長(新任)、萬谷至康建設・不動産業課長(新任)が参集。野田・吉田両部長のほかは、ほぼ一新した県土整備部の幹部陣と協会三役との顔合わせに引き続き、先月発生した鳥インフルエンザへの協会員の対応などに話が及んだ。
◆災害対応空白地域つくるな
あいさつ後に行われた幹部同士の懇談では、まず、野田・県土整備部長が、旭市内の養鶏場で先月発生した高病原性鳥インフルエンザに言及。「建設業協会の会員のみなさんも出動され、現場で作業をして頂き大変ありがたく思う。お蔭さまで、比較的大きな事態にはならず、速やかに予定通りに措置が出来た」とし、森田知事においても「農林水産大臣から『千葉県は迅速であった』との言葉を頂戴したようで、それらも含めてみなさんのお蔭である」と述べ、改めて謝意を示した。
これを受けて畔蒜会長は「自衛隊も500人規模で出動していたが、我々が今回出動させて頂いたことで、迅速な対応をはじめとする建設業の本来の姿と役割を、改めて農林の畜産関係の方々や地域の方々に対してPR出来たと思う」と強調。現場は、新川の河川に近いところで水位が高く、土壌が非常に悪かったことに言及したうえで「地元の建設業として地理をよく把握していた。通常の何もない場所ならば、ただ穴を掘って殺処分した鳥を埋却する作業で済んだが、ビニール1枚敷くにしても、土砂が崩壊する状況にあった。そのため、少しずつ掘っては埋めるという対応を行った」と説明。
◆二次災害の可能性
「現場の土壌を知らない人たちが作業にあたっていた場合、二次災害が起きた可能性も十分にあったと思う」と指摘した畔蒜会長は、「それらの面からも、安全に作業が出来たと振り返るとともに、改めて地元だからこそ出来たことだと自負している」と主張した。
一方で「普段から県にお願いしている『災害対応空白地域をつくってはならない』という意味について、我々も再認識させて頂いたと同時に、さらなる県へのアピールが必要だと感じた」と述べた。
これに対して野田・県土整備部長は「畔蒜会長の話の通り、我々にとっても(災害対応空白地域の回避を)再認識させて頂く機会となった」と同調。また「従来から申し上げているように、地域ごとに根ざした建設業がきちんと存続していることが、地域防災にとって非常に重要なことである」と強調。「鳥インフルは重大な事態であるが」と前置きしたうえで、「人が亡くなるような大きな災害ではなく、実際に建設業が活躍出来たということは、良いPRの事例だったとも言える」との見解を示した。
◆平準化と適正工期/最たるものと認識
骨格予算でのスタートとなった本年度について畔蒜会長は、野田・県土整備部長に対して「出来るものからスピーディーに、バランスの良い発注をお願いしたい」と要望。これに対して野田部長は「我々はもとより、各市町村の発注部局においても当座の話であり、将来的な担い手を確保するためにも、働き方改革が国レベルで議論され、建設業も例外ではない話になっている」と説明。加えて「そのために現場はどうすればよいかという時に、発注者がやるべきことが出てくる。平準化と適正工期は、その最たるものだと受け止めている」と力を込めた。
さらに野田部長は「遅ればせながら、本県でもアイ・コンストラクションについて、みなさんの提案を受け入れながら、試行工事を進めることになった」と報告。「条件が整った会社は是非、手を上げて取り組んで頂けるとありがたい。ひいては、それが生産性の向上や若手に対する魅力にも繋がってくると思う」と強調した。
◆女性技術者の可能性に期待
他方、「女性技術者を採用しようとしてネット上に配信しても、我々のところには中々来ないというのが実情である」と指摘した石井副会長は「それには、もっと情報発信をしていくことが大事だとはわかっているが、これといったトピックス的な情報が中々発信できない。そういった意味では、やはり一般紙に対するアピールが必要だと思う」と主張。「今朝、一般紙で総合評価落札方式の記事をみたが、その記事を読んだ何パーセントかの女性陣が(建設業に対して)興味を持ってくれれば良いと思う」と述べたうえで「女性の技術者が我々の業界に普通に現れるようになると、我々自体もさらに変わると思う」と予見。
同じく、小宮山副会長も「現場に女性が一人いるだけで、雰囲気がとても明るくなる。また、安全に対しても、違った視点から見ることが出来るということからも重要だと思う」と同調した。