四国地方整備局が高知県と連携してまとめた「高知港における効果・効率性の高い地震津波対策(三重防護)」で、設計に当たり最新の技術的知見など、専門家の技術的な助言を得るための「第2回高知港海岸地震津波対策技術検討会」が3月28日、高松サンポート合同庁舎で開かれた(写真)。
高知港における三重防護の地震・津波対策の下に、具体的な海岸保全施設整備を進める上で、津波エネルギーの減衰や現場状況に適合した海岸堤防の嵩上げと液状化対策などについて、同検討会で技術的な妥当性を確認する。L1やL2地震動による津波の設計条件に対し、想定する基本・実施断面など、構造形式の耐震性能について判断している。
第1回検討会では高知港種崎(中工区)の海岸堤防の構造として重力式コンクリート構造の基本断面を提示し「妥当」との判断を受けた。さらに地元から要望のあった眺望に配慮した実施断面を確定した。5月中旬にも現地で四国地方整備局港湾空港部が工事に着手する予定。
今回の技術検討会では種崎(新港)と県のエネルギー供給基地のタナスカ地区(東孕)海岸堤防の設計条件と構造形式などが提示された。
種崎(新港)地区はコンクリート重力式構造と、前面に鋼管杭を活用した鋼材使用形式の断面など複数案、タナスカ地区は3案からなる鋼管杭形式の基本断面構造が示された。
今後5月下旬に開催予定の第3回技術検討会までに絞り込みを行った上で最終案を提示。設計条件と基本断面の技術的妥当性を確認する。併せて地元住民に基本断面の構造を示し付加する要望による一部構造の変更に技術的な問題がなければ、これを踏まえた実施断面を決定する考えだ。両地区ともに実施断面の確定後、四国地整で速やかに工事着手していく考えだ。
高知港における地震・津波対策は▽高知新港の第一線防波堤▽浦戸湾外縁部・湾口部の防波堤と防潮堤▽浦戸湾内部護岸などの改良や耐震補強など―の三つのラインで津波から防護する「三重防護」が被害の軽減に有効とされている。四国地方整備局と高知県はエネルギー供給基地のタナスカ地区を含め三つのラインの順に優先順位を決め、工事着手など速やかに具体化を図る。
提供:建通新聞社