YKK(東京都千代田区、吉田忠裕会長)が黒部市内で昨年6月から建設してきた「パッシブタウン第3期街区J棟」の竣工式が3月31日、現地で執り行われた。
第3期街区は「既存ストック活用による単身者向け省エネルギー住宅モデルの提案」を計画方針に、既存のYKK茅堂住宅J棟(87年築)、K棟(92年築)をそれぞれ改修し活用するもの。J棟では、RCバルコニーを減築し構造的負担が軽減したことで、エレベーター新設やエントランス周りのレイアウトを変更。鉄骨バルコニーを設け、外断熱を施すことで熱損失を最小限に抑えるよう工夫。北側外壁には県産スギ材を横張りした。内部は社宅住戸を単身者用に改修し、フラットタイプを21戸、メゾネットタイプを6戸配する。独製の熱交換換気装置を国内初導入するなど、快適な居住空間を実現させた。改修後の建設規模はRC一部S造4階建て延べ1700・05平方メートル。K棟は6月の完成予定。
吉田会長は「既存建物を改修し、高いパッシブ性能を持たせるのは難しいが、実証できた。設計した森氏(キーアーキテクツ代表取締役)、施工した松井建設に感謝したい」と話した。竣工式では関係者が玉串を順に捧げた。
「パッシブタウン」は、黒部市三日市の茅堂社宅跡地約3万6100平方メートルを開発し、黒部の自然エネルギーを活用した21世紀の持続可能な社会にふさわしいローエネルギーのまちと住まいを提案するプロジェクト。総住戸数約250戸、入居者数約800人、総延べ床面積は4万2900平方メートルを見込み、25年の全体完成を目指す。