建設新聞社
2017/03/29
【東北・福島】福島県がアーカイブス拠点施設の基本・実施設計公募プロポ
地震、津波、加えて原子力災害という世界で類のない複合災害を被った福島県は、災害の記録と教訓、そして復興の姿を発信する「東日本大震災・原子力災害アーカイブ拠点施設」の整備を双葉町で計画し、基本・実施設計の委託者を公募型プロポーザルで選定するため、28日に募集手続を開始した。
参加形態は、単体またはJV(3者以内)。このうち単体およびJV代表者には、過去15年以内に延べ3000平方b以上の建物(工場、共同住宅等を除く)、または国および地方公共団体発注で延べ2000平方b以上の建物に係る新築等の実施設計実績を求めている。
応募スケジュールは、質問書の提出が4月7日までで、参加表明書および技術提案書の提出期間は同13日〜5月8日とする。プロポーザル事務局は、福島県文化スポーツ局生涯学習課が担当。
審査は2段階方式で行い、5月下旬の1次審査(書類審査)でヒアリング要請者5者程度を選定、その後、同じく5月下旬に実施する2次審査(公開ヒアリング)で、最優秀提案者および次点を選定し、6月上旬に通知する。なお、提案者名は、選定者通知まで非公表とする。
審査委員会は、長澤悟東洋大学名誉教授を委員長に、遠藤俊博公益財団法人福島県文化振興財団前理事長、川音真悦福島県土木部営繕課長、時野谷茂会津大学短期大学部長、西弘嗣東北大学学術資源研究公開センター長・教授、平岩邦弘双葉町復興推進課長、古谷誠章建築家・早稲田大学教授、吉成宣子福島県文化スポーツ局生涯学習課長の8人で組織。
提案課題は、@復興の拠点としてのアーカイブ拠点施設等の配置のあり方A複合災害の記憶を未来へ継承するための建築物としてのあるべき姿B施設利用形態の変化に対応した施設整備と各エリアの連携およびセキュリティを考慮した利用動線のあり方C保存資料の多様性を踏まえた新たな資料保存エリアのあり方―の4項目。
建設用地は、復興祈念公園予定地の南西部で、双葉町が復興拠点に位置付けている双葉町中野地内。敷地面積は約3万5000平方bで、同一敷地内では双葉町が産業交流センターの新築を計画している。
アーカイブ拠点施設は延べ約5200平方bを想定し、構造は提案で求める。内部構成および面積は▼展示・プレゼンテーション約1750平方b▼収集・保存約980平方b▼供用スペース等約2470平方b―としている。
履行期限は2018年3月31日とするが、設計の標準工期16・5カ月(うち計画通知期間2・5カ月)を勘案し、繰越手続きにより延長する場合もある。
着工は18年度で、20年夏に開催される東京オリンピック・パラリンピック前の供用を目標とする。概算工事費は約32億円。
基本構想策定業務はトータルメディア開発研究所(東京都千代田区)が担当した。
提供:建設新聞社