岐阜県議会県有施設再整備対策特別委員会(猫田孝委員長)は23日、県有施設の再整備対策について、施設の長寿命化や適正配置、財政負担の平準化、トータルコストの縮減―などを盛り込んだ提言書をまとめ、古田肇知事に提出した。県がまとめた「公共施設等総合管理基本方針」に、2020年までに個別施設ごとの管理計画を策定すると目標を定めており、検討を進めてきた。
県保有の建物は14年度末現在で5691棟、延べ面積は約244万平方bで、平均築年数は約30年となっている。このうち、建築後50年以上経過した建物棟数は現在約4%にとどまるが、10年後には約26%、20年後には約57%になるなど、老朽化が一斉に進み、大規模改修や再整備などに要する経費の増加が見込まれている。
同委員会では再整備に当たり、将来的に財政負担が特に大きい施設として県庁舎や県立学校81校、警察署庁舎22施設などを挙げている。
提言は次の通り。@再整備の時期が集中しないよう計画的な建て替えや改修を進め、財政負担や事業量の平準化A予防保全型の計画的な維持管理で施設の長寿命化を推進し、トータルコストの縮減を図るB施設全体の配置や適正規模、機能の在り方を見直す。国、市町村の施設状況を踏まえた施設配置の考慮C長寿命化や再整備では、全庁的な取り組み体制を構築し、現状や課題、基本方針などについて認識を共有D計画的に建築、設備技術者を採用するなど将来を見据えた人材確保と育成E個別施設の計画策定では、利用状況や必要性を検証し、廃止や規模縮小、集約化や転用、関係市町村への移管などを含めた検討F県有施設全体を統括するデータベースを構築し、情報共有と有効活用に努めるG未利用施設や利用率の低い施設にいては、有効活用や処分に向けた対策の検討H県内業者の受注機会確保と県産材や県産品の利活用の促進。
また、県庁舎再整備については、同委員会が15年12月に知事に提出した、県庁新庁舎の配置や規模などに対する意見をまとめた「岐阜県庁舎再整備に対する意見書」に十分な配慮を要請。県立学校の再整備については、構想を早期に策定し、可能なところから順次進め、警察署庁舎については計画的な建て替えを求めた。
提供:建通新聞社(2017/03/29)