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建通新聞社四国
2017/03/24

【香川】全用途で下げ止まり顕著 17年県地価公示

 香川県は2017年の地価公示概要を明らかにした。地価の下落は県全体の住宅地、商業地、全用途平均の対前年平均変動率(平均変動率)が1992年以降26年連続で下落しているものの、下落率は住宅地、商業地、全用途平均ともに前年よりさらに縮小するなど「下げ止まり」が顕著となった。国土交通省土地鑑定委員会地価公示香川分科会代表幹事の岩井競平氏は、「マイナス金利導入による不動産投資促進効果や相続税対策のための貸家需要の増加、訪日外国人観光客の増加に伴うホテル需要の増大、金融資産としての不動産投資など、不動産を取り巻く環境は好材料が多い」とした上で、「香川県内の不動産に及ぼす影響の程度がどこまで広がるか注目すべき」とコメントした。
 1月1日現在の県内8市8町(直島町を除く)の179地点を調査。全用途平均は0・8%減で前年の1・5%減より下落率の幅が縮小した。前年からの継続地点176地点を見ても、16地点が「価格上昇」、32地点が「横ばい」、128地点で「下落」と、価格上昇地点が増えた。また、住宅地、商業地ともに最高価格地点と変動率上位1位の地点が同じ地点となった。
 住宅地では「高松―3、高松市番町3ノ14ノ8」で1平方b当たり22万3000円。変動率1・8%の上昇。商業地は「高松5―1、高松市磨屋町2ノ6他、あなぶきセントラルビル」で、1平方b当たり39万2000円、変動率2・6%の上昇だった。
 用途別の平均変動率で見ると、住宅地は下落率0・8%減(前年1・4%減)、商業地0・9%減(同1・5%減)でいずれも下落幅は縮小した。市町ごとの平均変動率を見ると、全市町で下落。高松市は住宅地で0・2%減(前年0・8%減)、商業地で0・2%減(同0・6%減)、全用途平均0・2%減(同0・8%減)と全て26年連続で下落しているものの、下落率は縮小した。
 市平均は住宅地0・7%減(前年1・3%減)、商業地0・8%減(同1・4%減)、全用途平均0・7%減(同1・4%減)と、ここでも全てで26年連続の下落であるものの、下落率が縮小。
 町平均は住宅地1・4%減(前年2%減)、商業地1・6%減(同2・2%減)、全用途平均1・4%減(同2・1%減)と22年連続の減少だが、下落率の幅は前年より小さくなった。
 県内の地価動向について岩井氏は、「住宅地は県全体として人口減少および高齢化率の上昇などによる需要減少により26年連続の下落。ただし下落幅は年々縮小傾向にあり、県全体の平均値は年間マイナス0・8%と極めて小さな値で下げ止まり傾向は顕著」と分析した。
 高松市の地価動向は54地点中、上昇13地点、横ばい15地点となり、下落傾向から横ばいおよび上昇傾向へと変化している。岩井氏は上昇地点エリアのうち一つは『栗林・桜町校区等』で具体的に番町、昭和町、錦町、宮脇町、上之町、桜町、伏石町などを挙げる。もう一つは郊外の新興住宅地域の宅地開発が活発で地区内人口が増加し、価格水準が比較的低位で標準的なサラリーマン世帯が購入可能な価格帯に収まる地域の『多肥上町、春日町、太田上町、太田下町』などを挙げた。また、横ばい地点はこの二つの上昇地点エリア周辺の住宅地域としている。
 高松市以外の市町の一部(丸亀市、三木町)にも横ばい地点が見受けられるとした。
 一方、商業地について岩井氏は、郊外大型商業施設への顧客の流出が続く中、「中心商業地の空洞化と小規模小売店舗の閉鎖などが依然として認められ、有効需要の減退とともに地価は26年連続で下落。ただし、下げ止まり傾向は顕著」と分析した。高松市の商業地の地価動向は下落傾向から横ばい、上昇傾向へと変化しつつある。上昇地点と横ばい地点が主に高松市中心商業地域と路線商業地域の一部で「この地域は賃料収入が比較的安定し長年の地価下落で結果的に投資環境が改善された」と見る。特に「最高価格地(中央通り)は外国人観光客の増加に伴うホテル需要を見込んだ動きを期待し上昇した。一方で依然として収益が見込めず、有効需要も低調な郊外の商業地域もあり、二極化傾向も認められる」とコメントした。

提供:建通新聞社