東京電力と中部電力のエネルギー合弁会社、JERA(東京都中央区日本橋2−7−1)が計画する「五井火力発電所更新計画」の環境影響評価準備書の縦覧が22日、県や地元の市原市、近隣の千葉市及び袖ケ浦市で始まった。既設火力発電設備の廃止・撤去に伴い、最新かつ最良の技術(BAT)であるガスタービン燃焼温度1650度C級のコンバインドサイクル発電設備3基、合計234万kwに更新する計画。2018年5月に着工し、23年7月から24年2月にかけて順次運転を開始する予定。
対象事業実施区域は、市原市五井海岸1番地及び地先海域で、面積は約53万u(発電所敷地約40万u及び地先海域約13万u)。
計画では、汽力による既設の発電設備6基(合計出力188・6万kw)を、ガスタービン及び汽力(コンバインドサイクル発電方式)3基(各78万kw)、合計出力234万kwに更新する。
新たに設置する発電設備は、現状の発電所構内の既設1〜6号機等を廃止・撤去した跡地に設置するものとし、新たな土地の造成は行わない。また、既設の放水口及び放水路を有効活用することで、工事に伴う環境への負荷を低減する。
事業スケジュールは、18年5月を予定して撤去工事(工期55か月)に着手するとともに、2年目となる、その約19か月後に取放水設備工事(工期31か月)と基礎・建物工事(工期42か月)を開始。その後、工事着手から4年目となる約39か月後に新1号機、約43か月後に新2号機、約47か月後に新3号機の工事(3基とも工期16か月)に入り、試運転期間を経て23年7月に新1号機、同10月に新2号機、24年2月に新3号機の運転を開始する予定。
撤去工事の規模は、蒸気タービン6基、ガスタービン1基、ボイラ6基、そのほかタービン建屋、煙突、開閉所、取水設備、主変圧器等。機器を切断解体し、建屋を撤去後、RC基礎等の取り壊しを行う。
取放水設備工事では浚渫、取水口構築、地盤改良、掘削、取水管路(埋設約570m)及び放水管路(埋設約700m、既設放水路内約310m×3)、埋め戻し、循環水ポンプ室(内空幅約7m×高さ約14・5m×3室)の構築を行う。
基礎・建物工事は、主要機器(タービン建屋、排熱回収ボイラ、煙突)基礎部分の地盤改良、基礎杭打設後、掘削を行い、RC造基礎を構築。次いで、タービン建屋の建方(矩型、長さ約81m×幅約38m×高さ約26m、S造×3棟)を行い、引き続き外部及び内部の仕上げを行う。
タービン建屋構築後、ガスタービン(3基)、蒸気タービン(3基)、発電機(3基)、排熱回収ボイラ(3基、矩型、長さ約31m×幅約18m×高さ約32m、S造)及び煙突(3基、地上高80m)等の主要機器の搬入と据え付けを行う。
五井火力発電所は、戦後の高度経済成長期の電気需要にこたえるため、1963年の1号機を皮切りに68年の6号機まで順次運転を開始。合計出力188・6万kw(1〜4号基各26・5万kw、5号基35万kw、6号機47・6万kw)の大規模火力発電所として日本経済の発展に寄与してきた。
しかし、1号機の運転開始から50年以上が経過したことから、発電コストの低減と安定した電力供給を目的として、老朽化が進む発電設備を高効率な発電設備に更新することとし、10年1月に東京電力が環境影響評価方法書の手続きを開始した。
その後、東京電力と中部電力が国内の火力発電所の新設・リプレース事業を含むエネルギー事業を共同で包括的に行うため、15年4月にJERAを設立。五井火力発電所の更新計画も引き継ぎ、環境影響評価準備書以降の手続きを行うことにした。
環境影響評価準備書の縦覧期間は4月21日まで。JERAのホームページでも見ることができる。