東京都は「技術者配置準備期間」を設定した工事契約の試行を、ゼロ都債以外の案件に拡大する。工期設定(工事着手日〜工期末)は変更せず、工事の公表(公告)から契約締結日までの期間に余裕を持たせることで、技術者数の限られた中小建設業者の入札参加機会をさらに拡大することが狙い。予定価格250万円超の競争入札工事の中から、4月1日以降に公表する案件に設定する。
中小建設業者の多くは、年末から年度末の工事繁忙期に配置できる技術者が限られているため、年度末に入札手続きを行う案件に応札できないケースが少なくない。そこで都は、入札に参加しやすい環境づくりの一環として、年度末に発注するゼロ都債(当該年度の支出はゼロで、翌年度の債務負担のみを設定)の工事を対象に、技術者配置準備期間を設定した契約の試行を2015年1月に開始した。例えば1月に案件を公表して、3月初旬に契約を結び、4月1日に着手する工事であれば、3月末工期で技術者を配置している事業者も入札に参加できるようにした。
これまでの試行結果を踏まえ、技術者の効率的な配置をさらに促すため、ゼロ都債以外の工事にも技術者配置準備期間を設定できるようにする。
予定価格250万円超で競争入札を行う工事を対象とし、事前に「技術者配置準備期間を設定する」ことを明記する。準備期間は、契約確定日から都があらかじめ指定する工事着手日の前日までで、その期間は「工期の30%を超えず、4カ月を超えない範囲内」で設定する。
工事希望申し込み時に配置予定技術者が「当該工事案件の工事着手日に他の工事に従事していないこと」を条件とし、配置準備期間中は監理技術者や現場代理人の配置を不要にする。事業者には「工事着手、工事準備などの業務を行わないこと」「配置予定技術者の工事実績情報システム(コリンズ)への登録を行うこと」を求める。
提供:建通新聞社