建通新聞社(神奈川)
2017/03/22
【神奈川】下水道事業のコンセッション方式 浜松市が全国初 事業者決定 三浦市は19年4月の事業開始目指す
下水道事業のコンセッション方式が大きく前進する見通しだ。浜松市は3月21日、国内初の下水道事業におけるコンセッション方式の優先交渉権者を決定。国土交通省は、「このようなコンセッション方式の導入を検討する地方公共団体を支援し、更なる導入促進を図る」としている。神奈川県内では、三浦市が2019年4月の事業開始に向け手続きを進めており、浜松市の先例が力強い後押しとなりそうだ。
浜松市における下水道事業のコンセッション方式は、市内最大処理区である西遠処理区において、処理場・ポンプ場に運営権を設定。民間事業者が20年間にわたり、対象施設の維持管理と機械電気設備の改築更新などを実施するもの。
優先交渉権者となったのは、ヴェオリア・JFEエンジ・オリックス・東急建設・須山建設グループ。代表企業はヴェオリア・ジャパン。公共施設等運営事業開始は18年4月を予定している。
下水道事業のコンセッション方式は、浜松市以外でも全国の自治体で導入に向けた取組を進めている。大阪市では、早ければ19年度からの事業開始を予定。15年2月に「大阪市下水道事業経営形態見直し基本方針(案)」を策定し、16年7月には受け皿会社である新会社「クリアウォーターOSAKA」を設立している。
神奈川県内では、三浦市が国土交通省の「先導的官民連携支援事業」採択を受け、公共下水道事業におけるコンセッション方式導入を検討している。3月中にも実施方針案などを公表予定。12月にコンセッション事業方式検討のための審議会設置条例を可決し、19年4月の事業開始を目指す考えだ。
公共施設等運営権方式(コンセッション方式)は、利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式。11年のPFI法改正により導入された。
民間事業者による安定的で自由度の高い運営を可能とすることにより、利用者ニーズを反映した質の高いサービスを提供できる制度としている。
神奈川県は企業庁の「箱根地区水道事業包括委託」により、箱根地区の水道事業を箱根水道パートナーズ(代表事業者はJFEエンジニアリング)に委託している。国内で初めての水道事業全体の運営委託となった。現在の事業期間は14〜18年度の5年間。
提供:建通新聞社