憲政記念館敷地(千代田区)に建設を計画する新たな国立公文書館の規模や施設内容がほぼ固まった。内閣府が設置している調査検討会議(座長・老川祥一読売新聞グループ本社取締役最高顧問)は3月16日に開いた会合で、ワーキンググループなどでの検討結果を基に報告書案をまとめた。文書に適した保存環境の確保や多くの人々のニーズに沿った快適・安全な空間の提供、ライフサイクルコストの低減などに留意しつつ、延べ床面積約4万2000〜5万平方bの施設規模が必要だと結論付けた。23日に開く最終の会合で成案をまとめ、これを基に内閣府が今後、基本計画を策定する。
公文書をめぐっては、その役割が注目され調査・研究などのニーズが高まる一方、既存施設は老朽化して狭く、近い将来、書庫が満架になることが見込まれている。そこで、立法・司法・行政の三権の国の機関が集中する憲政記念館敷地(千代田区永田町1丁目地内、約5・5f)を候補地に、新たな施設を建設する。
調査検討会議では新国立公文書館について、国の形や国家の記憶を伝え将来につなぐ「場」を提供し、歴史公文書の保存・利用に関する取組推進の拠点としてふさわしい開かれた施設、またデジタル化の進展をはじめとする時代の変化見据えた施設・設備とすることを前提に、配置すべき機能を整理。文書の保存や修復に加え、展示や学習、調査研究、デジタルアーカイブ、情報交流などの機能を持たせ、それぞれ関連する施設の規模を算出した結果、延べ床面積4万2000〜5万平方b程度の施設規模が必要だと結論付けた。
また、施設整備に当たって、▽文書に適した保存環境の確保と環境や安全への配慮▽幅広く多くの人々のニーズに沿った快適・安全な空間の提供▽災害・セキュリティーなどへの十分な備え▽ライフサイクルコストの低減▽周辺環境への配慮や立地の利点を生かした施設づくり―を求める。
この検討結果を基に今後、民活手法の導入も視野に内閣府が基本計画の策定作業を進める。
国立公文書館は本館(千代田区北の丸公園、地下2階地上4階建て延べ1万1550平方b、1971年完成)と分館(茨城県つくば市、同造3階建て延べ1万1250平方b、98年完成)で構成。本館は建物の老朽化が進行している他、2019年度ごろには書庫が満架になると見られている。
提供:建通新聞社