東京都財務局のまとめによると、2015年度の公営企業局を含めた予定価格250万円超の工事の入札のうち、最低制限価格を下回ったために失格者が出た案件の割合(失格率)は、前年度を5・4ポイント上回る23・9%だった。最低制限価格制度をめぐっては、小池百合子知事の設置した都政改革本部会議の内部統制プロジェクトチームが、運用の見直し(撤廃)を求めているが、低価格入札による工事品質の低下に歯止めを掛け、中長期的な人材の確保・育成にも一定の効果が見込まれている制度であることから、都の今後の対応が注目されている。
15年度に最低制限価格を適用した入札件数は4925件で、このうち1178件で最低制限価格未満の入札は1178件(複数の入札があっても1件でカウント)あり、失格率は23・9%だった。14年度の18・5%(4983件中922件)、13年度の22・6%(4925件中1113件)を上回った。
都は2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会の関連工事発注の本格化を控えた15年度、WTO政府調達協定の対象を除く全ての工事に最低制限価格制度の適用を開始(17年度までの暫定措置)した。低価格での入札に歯止めを掛けることで、工事の品質とともに事業者(受注者)が適正な利潤を確保できる環境を整え、中長期的な人材の確保・育成につなげる狙いがある。都の入札への参加意欲を高める効果も期待されており、建設業団体は最低制限価格制度を維持するよう求めている。
提供:建通新聞社