トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建設新聞社
2017/03/14

【東北・宮城】除排雪や施設維持管理を共同受注へ/杜の都建設協同組合が発足 /仙建協

 仙台建設業協会(河合正広会長)の会員65社が13日、共同受注、共同購買などを目的とする「杜の都建設協同組合」を発足させた。同日、宮城県建設産業会館で開いた創立総会で、仙建協の河合会長を理事長に選任。組合が除排雪やインフラの維持修繕などを包括的に受注し、組合員が共同で担う体制を構築することで、担い手の不足や仕事量の減少に備える狙いだ。設立認可や登記などの手続きを経て、5月をめどに組合を正式に立ち上げ、仙台市などとの協議を本格化させていく。
 事業協同組合による共同受注は、改正品確法の基本方針で多様な入札契約制度の一つに位置付けられており、官民双方の担い手不足を補う手法として注目を集めている。先進事例を見ると、福島県の中山間地域にある宮下地区(柳津町・三島町・金山町・昭和村)で、建設業協同組合が除雪や道路・河川維持補修業務などを担当。栃木県建設業協会も事業協同組合を設立し、道路・河川の維持管理業務などを受注している。
 仙建協では、2014年度に立ち上げた将来ビジョン検討委員会(後藤栄一委員長)が、将来の担い手確保や社会資本老朽化など仙建協会員と地域を取り巻くさまざまな課題への対応策を探ってきた。事業協同組合による共同受注は、同委員会がこうした課題を解決するための手法として打ち出した。
 杜の都建設協同組合は、宮城県内を活動エリアとし、事業内容は▽建設工事、除排雪、施設維持管理などの共同受注▽資材・消耗品などの共同購買▽経営・技術の改善・向上のための教育・情報提供―などを想定。これにより、行政による包括的発注に対応する体制が構築され、受注業務が効率化できるほか、共同購買事業を通じたコストダウンが可能になる。行政側にとっても、一括発注によるコスト・事務負担の軽減、災害時などの緊急連絡・緊急措置の効率化といった効果が期待できるという。
 今後、5月までに設立認可や登記などの手続きを終え、7月までに建設業許可を取得し、8月の仙台市競争参加資格申請を視野に入れている。受注実績を積み重ねることで、将来的には官公需適格組合の証明(認定)を目指す。
 13日の創立総会冒頭では、発起人を代表して仙建協の深松努副会長が「東日本大震災から丸6年となり、仙台市の復興はほぼ完了した。工事量の減少は公共事業に依存する会員にとって喫緊の課題であり、地域の安全・安心を確保するため、包括的な受注が可能となる体制の構築が重要だ。今回の組合設立により、行政側の事務負担軽減とともに、われわれにとっても受注業務の効率化、各組合員の業務平準化などにつながる。組合の果たす役割は今後ますます大きくなる」と力を込めた。
 また、総会終了後に会見した河合理事長は「建設投資の減少に加え、担い手の不足や高齢化という課題を抱える中、仙台の安心・安全を守る活動を貫いていくためには、みんなが力を合わせて除排雪やインフラの維持管理に取り組んでいなくてはならない。創立総会では組合に対する期待の高さとともに、責任の重さをあらためて実感した」と組合の意義を強調。その上で「これからのかじ取りが大変だと思うが、東日本大震災のがれき処理では官民が協力して『仙台方式』を実践し、世界から賞賛された自負がある。仙台市の理解を得ながら、組合の活動を早く軌道に乗せたい」との意気込みを示した。
 役員は次の通り(敬称略)。
▽理事長=河合正広(石井組代表取締役)▽副理事長=深松努(深松組代表取締役社長)、後藤栄一(後藤工業代表取締役)▽専務理事=我妻志朗(員外)▽理事=結城孝(中城建設代表取締役)、奥田智(奥田建設代表取締役)、木皿信吉(木皿建設代表取締役社長)、舩山克也(阿部和工務店代表取締役)、菅野悟(員外)▽監事=須田修(山辰建設代表取締役)、佐藤朝夫(さとう総業代表取締役)、栗村英樹(栗村建設興業代表取締役)

 提供:建設新聞社