徳島県は、県発注の建築・電気・管工事(空調含む)について、総合評価落札方式の評価基準(配点など)を一部改める見直し案を明らかにした。手持ち工事調整の新設や地域精通度加点を拡大する一方、工事成績評価を縮小するなどし、落札企業の過度の偏りを是正する。具体的な配点内容は、現時点で言及を避けているが、今後関係業界団体に意見を求めた上で決定し、「2017年度入札・契約制度の改正および運用の改善」に盛り込む形で、3月末にも公表する。5月1日からの運用開始を目指していく。
見直し項目は、▽手持ち工事数による評価を導入(新設)▽地域精通度加点の適用拡大▽企業や配置予定技術者の工事成績評定点を縮小▽一抜け方式の適用拡大▽機械保有状況の加点を廃止▽企業や配置予定技術者の工事成績評定点の評価期間を延長▽企業や配置予定技術者の工事成績を問わないチャレンジ型を追加−の7項目。見直しの対象は、建築の特A級、A級。電気・管のA級を対象に適用する。
手持ち工事数による評価は、公告時点で工事中の県発注同種工事が対象。建築工事では7000万円(以下設計金額)以上、電気工事は4000万円以上、管工事は3000万円以上をそれぞれ対象に、手持ち工事を持たない企業に加点する。
地域精通度加点の適用拡大では、現行で建築A級の一部エリアでのみ適用していた加点(庁舎管内に営業所等で15点)を、建築は特A級とA級、電気・管はA級全てに適用し、配点も拡大する。企業や配置予定技術者の工事成績評定点を縮小では、簡易型A(1億円)以上(企業・技術者とも25点満点)、3000万〜1億円の施工能力審査型(企業15点・技術者20点満点)の現行制度から、簡易型A以上では企業・技術者とも配点を縮小する他、施工能力審査型では技術者の配点のみを縮小する。
一抜け方式の適用拡大では、これまで入札参加資格要件、工種、入札公告日と開札日が同一の案件を条件に、1000万円以上の同一敷地内の分割工事のみで適用していた現行制度に加え、建築7000万円以上(特A、A)・電気4000万円以上(A)・管3000万円以上(A)については、県下全域に拡大させる。企業や配置予定技術者の工事成績評定点の評価期間を延長については、企業5年、技術者8年の現行制度をいずれも10年に延長する。
この他、工事成績を問わないチャレンジ型では、国土交通省近畿地方整備局での導入例を参考に、企業・技術者両方の工事実績を問わないか、企業の工事実績だけは見る二つの方法で試行的に実施する予定。意欲はあっても受注機会を失っている企業にその機会を与え、効果を検証することにしている。
これら総合評価方式の見直しは、同一企業に落札が偏っているとして昨年の県議会県土整備委員会で取り上げられ、県が見直しを表明していた。県は建築特A級企業29社、電気A級企業22社、管A級企業21社を戸別訪問し意見を集約、制度の見直しを進めていた。
提供:建通新聞社