福島建設工業新聞社
2017/03/06
【福島】再生可能エネ/既存ダム活用「水力促進」
既存ダムを活用した水力発電の実現に向けた可能性を調査・研究する「福島水力発電促進会議」が1日、福島市で発足した。座長には元国土交通省河川局長の竹村公太郎日本水フォーラム代表理事が就任。技術・経営両部会を設け、検討を本格化させることとした。
西暦2040年ごろをめどに「県内エネルギー需要の100%相当量を再生可能エネルギーで生み出す」との目標を掲げる県の再生可能エネルギー推進ビジョンに水力発電で貢献しようと、地元経済界が中心となって同会議を立ち上げた。
同ビジョンでは、平成21年度に対する42年度の導入目標値として、太陽光発電を51・4倍、風力発電を71・6倍に設定する一方、水力発電はほぼ横ばいを想定している。
太陽光や風力のエネルギーを活用した発電は、天候に大きく左右される。既存ダムのポテンシャルを活用した水力エネルギーは、全国各地で安定的に得られるため、同会議は水力発電の目標値を引き上げることで、同ビジョンの目標実現に貢献したい考え。42年度の水力発電の目標値を現行の3倍にすれば、ビジョンの目標達成度は106%となり、最終目標を10年早くクリアできるとの試算も示している。
既存ダムを活用した発電には、ダムへの発電機設置のほか、ダム本体のかさ上げによる貯水容量の増加など、発電用水の確保が必要となる。現行の河川法では、国の河川管理の目的が治水・利水・環境保全の3本柱とされているため、水力エネルギーの開発・活用には法改正も必要となる。
同会議は今後、法改正やFIT(固定価格買取制度)獲得に向けた活動を展開するほか、関係機関と調整・連携し、技術部会が事業可能性調査、経営部会が事業性評価を進める計画。事業化に当たっては、SPC(特定目的会社)を立ち上げるスキームを想定している。第1弾は浜通りでの事業化を目指したい考え。
運用開始後の利益は、県と地元市町村に還元する。水源地域の水力発電による自己財源確保で、森林整備をはじめとした地域環境の整備、観光施設整備など、地域経済の活性化や雇用確保にもつなげたい方針を示している。
同会議の事務局は、福島市の信夫山福島電力鰍ェ担当する。