東京都は、「JR埼京線十条駅付近」「京浜急行本線品川駅〜北品川駅付近」「西武新宿線野方駅〜井荻駅間」「西武新宿線井荻駅〜東伏見駅間」「東武東上線大山駅付近」の5区間で鉄道連続立体交差化に向けた取り組みを加速する。国が2017年度に創設する、着工準備に係る補助金の採択を要望しており、鉄道事業者や地元と連携しながら構造形式を固めるための概略設計や都市計画手続きなどを進めていく方針だ。2月28日に開かれた都議会本会議で、高木啓氏(都議会自民党)の質問に西倉鉄也建設局長が答えた。
国土交通省では、着工後に事業を円滑に進めるためには、着工準備段階での綿密な協議・調整などに対する集中的な支援が必要と判断。着工準備段階にある連続立体交差事業に対し、検討の熟度に応じた集中的な支援を行う新たな補助制度を17年度に創設する。
都ではこれまで、大山駅付近を除く4区間を着工準備区間に位置付け、国の交付金を活用して構造検討などの作業を行ってきた。17年度は新たに大山駅付近も加えた5区間について、「早期事業化に向けて一歩を踏み出す」(西倉局長)ため、国の新たな補助金を活用し、構造形式の検討や都市計画手続きなどの作業を進めていく方針を固めた。
JR赤羽線(埼京線)十条駅付近の連続立体交差事業では、十条駅の前後区間延長約1・5`を高架化する。構造形式は高架(延長0・8`)が主体で、終起点が擁壁(0・1`と0・2`)と地平式(0・2`と0・2`)を想定。事業区間のほぼ中央に位置する十条駅は高架化する。
品川駅〜北品川駅付近では、「京浜急行本線湘南線(泉岳寺駅〜新馬場駅間)連続立体交差事業」として、泉岳寺駅付近から新馬場駅までの区間延長約1・7`を連続立体交差化する。これにより、品川駅から北品川駅付近にある3カ所の踏切”を解消する。構造は、起点から延長0・4`を地下・掘割、品川駅手前から同駅を通過するまでの0・3`を地平、品川駅通過後から北品川駅までの延長1・0`を高架とする計画。
西武新宿線については、野方駅〜井荻駅間(延長約3・1`)と井荻駅〜東伏見駅間(同5・1`)の2区間を連続立体交差化する。高架や地下、高架と地下、高架と道路の立体化といった構造検討を進めており、コストや施工性などを考慮しながら構造や施工手順を絞り込む。
大山駅付近では、延長約1`にわたって駅前後に連続する8カ所の踏切の交通遮断時間が長く、交通渋滞や緊急車両の通行の妨げを引き起こしている他、鉄道敷による地域の分断が課題となっている。都による補助第26号線の整備に合わせ、駅周辺の鉄道を立体交差化し、駅前広場などを配置することを計画している。
提供:建通新聞社