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建通新聞社(東京)
2017/03/01

【東京】都検討会 選手村エネ計画案まとめ

 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会時に選手用の宿泊施設を建設する選手村地区(中央区晴海5丁目)のエネルギー計画を検討している東京都の検討会議(座長・橘川武郎東京理科大学大学院教授)は、2月28日に開いた会合で「エネルギー整備計画」案をまとめた。系統電力や都市ガスといった既存エネルギーに、水素や排熱を重層的に組み合わせることで、環境先進都市のモデルを構築することを目指す内容。近接する東京二十三区清掃一部事務組合の中央清掃工場東側の都有地に水素ステーションを整備し、パイプラインを通じて街区全体に供給する方針を打ち出した。都が今後、計画を取りまとめ、2017年度にエネルギー事業者の公募・選定手続きを開始する。
 選手村は、都が施行者となって展開する第1種市街地再開発事業の中で整備する。対象区域は中央区晴海5丁目の一部約18f。特定建築者に選定した三井不動産レジデンシャルを代表とするグループが、選手用の宿泊施設(選手村)として一時使用し、大会後に改修して住宅として供給する建物(24棟、約5650戸)を建設。併せて公共施設として幹線街路や区画道路などを配置する。この事業が20年大会のレガシーとなるよう、まち全体で高い環境性能を満たすスマートエネルギー都市とする。
 選手村地区は、三方を海に囲まれた島状の土地となっているため、自立分散型のエネルギー供給を推進し、生活の継続性を確保する。系統電力や都市ガスといった一般的なエネルギーの他、水素や排熱を組み合わせることで多様なエネルギーの供給形態を重層的に構築する。
 水素供給については、拠点となる水素ステーションを都有地(敷地面積約4800平方b)に建設。オンサイト(化石燃料を改質して水素を製造し、圧縮・供給)かオフサイト(他の場所で製造した水素を輸送してタンクで受け入れ、圧縮・供給)、またはこれらの組み合わせにより水素を製造し、燃料電池車・バスに供給する。
 選手村地区の分譲住宅や賃貸住宅、商業施設、学校予定地などの街区5カ所には、水素で発電する純水素型燃料電池を設置。水素ステーションと燃料電池を結ぶパイプライン(口径150_、延長1・2`)を、選手村の建設に合わせて敷設する。
 水素ガスを製造、供給する事業者は、都が17年度に公募・選定。18〜21年度の4カ年で整備を進めていく。
 また、中央清掃工場で外気に放出している未利用の低温排熱も選手村地区のエネルギーとして利用する。新たに敷設する熱導管を通じて、熱需要が見込まれる街区内の商業施設や賃貸住宅の一部(5―3街区)、学校などに供給する。事業化に向けて今後、技術的な調査や事業採算性の検証、水素供給との一体的な運営などについての検討を進めていく。22年度のまち開き後、施設整備を開始し、再開発事業の完了する24年度に稼働させる。

提供:建通新聞社