京都府は、鴨川と高野川の合流部の鴨川デルタの鴨川公園葵地区について、整備に向けた検討に入る。
府は、学識経験者と現地関係者で構成する鴨川公園葵地区整備計画に係る意見聴取会議を立ち上げ、27日に初会合を開催。現地視察を行った。
意見聴取会議で府担当者は「鴨川公園葵地区は下鴨神社、糺の森に近く、旧三井家下鴨別邸に隣接しており、歴史的、文化的、景観的にも非常に重要な場所。駅が近いため違法駐輪が多く、薄暗くて入りずらい状況にある」「高いポテンシャルを持っており、今の状況を改善し、鴨川公園を代表する地域の皆様に愛される公園にしたい」と挨拶した。
鴨川公園(広域公園34・8f)のうち、整備計画の対象は葵地区約5300u(昭和15年6月完成)。
現状をみると、密度の高い樹林となっており、全体の40%がクロマツ、このほかウバガメシ、キンモクセイ、シラカシなど90%超が常緑樹。夏季は木陰に覆われて涼しいが、冬季は薄暗い印象になっている。
計7ヵ所の出入口のうち3ヵ所は鎖や柵で閉鎖。残り4ヵ所の出入口は柵で狭められており、バリアフリー基準を満たしておらず車椅子の進入が難しい。
下鴨神社、糺の森を経て、葵地区に流れる泉川は貴重な水景。一部区間が暗渠で、コンクリートによる水路になっている。東には旧三井家下鴨別邸と京都家庭裁判所が隣接しており、境界際(敷地外)には白壁と呼ばれる趣のある塀(京都市重要文化財)があり、葵地区の背景となっている。
トイレは平成4年に整備。外観、内装ともに大きな損傷はないが、部分的な破損や全体的な経年劣化などがみられる状況。
ベンチは二人掛け用の擬木性コンクリートベンチが11基ある。地区内には照明灯が9基、埋込灯が5基設置されている。このほか、尾上松之介像、葵公園の石碑がある。
整備にあたり、該当する法規制は府立都市公園条例、都市計画法、京都市風致地区条例など。
意見聴取会議で府は、@周辺の環境と調和する景観づくりA誰もが安心して利用できる、安全で快適な空間づくりB立地条件を活かし、新たな交流や情報発信の拠点づくりの3点を整備の方向性として示した。