舗装工事を主体とするワールド建工(福井市西開発4丁目417番地2)が26日、創業・設立から20周年を迎えた。代表取締役の佐々木克彦氏が立ち上げ、持ち前の機動力をベースに、様々な現場で技術力を磨き、信用と実績を積み重ねてきた。昨年11月には新型のモータグレーダを導入する一方で、建築など20の業種で特定建設業の許可を追加取得するなど、将来を見据えた改革も進めている。20周年の節目に、同社を訪ねた。
設立のきっかけは、佐々木氏が転職しようと勤務先の建設会社に申し入れた結果、5人の職人とともに独立することになったこと。県内で技術者として名前を知られる存在になっていたが、創業はまったく考えていなかったという。しかし、やむなく決意し、自宅車庫を改造して会社を設立。準備もなく走り始めたため、資金繰りが厳しいうえ、横槍も入り、「家族と社員を抱え、とにかく必死だった。思い返しても、よく存続できたものだ」と当時を振り返る。
当初は市内で仕事ができず、知人の紹介で嶺南の現場へと通う日々が何年も続くなど、何度となく苦境に直面したが、「いまになって思えば、叩かれたことで成長できた。なにより、周りの皆さんに支えられ、今日までやってこられた。感謝しかない」と率直な気持ちを明かす。
当時から「どんな仕事でも断らないのが基本」。持ち前の機動力を発揮し、他社が嫌がる仕事でも率先して請け負い、技術を研鑽。昨年は福井県福井土木事務所の優良工事事務所長表彰を受賞した。「主力の舗装で受賞できたことは大きいが、なんと言っても、現場が頑張ってくれた。現場の勲章」と相好を崩す。
04年9月には、鯖江市の建設会社で経験を積んでいた長男、克弥氏が専務取締役に就任。父の苦労を身近で見てきただけに、「築き上げてきたものを壊してはいけない」と無我夢中で働いてきた。「設立当時は高校生で、いまでも鮮明に覚えている。最初の5人から現在まで、本当に社員に恵まれた」と振り返り、「働きやすい環境づくりにも力を入れたい」と力を込める。
専務が加わってからは、二人で相談しながら会社の進むべき方向を決めてきた。工事量が減少するなかでも売り上げを維持していくため、改革にも着手。しっかりと舗装をメインに据えたうえで、営業分野を拡大、このほど初の建築工事を受注した。さらに現在、設計事務所の開設準備やISO9001の取得手続きも進めている。
「会社を大きくしたいわけではない」と口を揃える。代表取締役は「小さくてもいいから、社員が喜んで働き、地域からも信頼される会社」と理想を説き、専務が「建築と土木で、工事の大小を問わずご要望に応えたい。建設のことならどんなことでも相談できる、地域に根差した、なんでも屋に」と補足する。「人間で言えば、やっと成人。これからが大変」と気を引き締めつつ、「流れに沿って、徐々に、無理せず、おごらず」の自然体で歩み続ける。