福島建設工業新聞社
2017/02/23
【福島】産業集積し復興リード/相馬地方都市マスタープラン
県は、見直しを進めている相馬地方都市計画区域マスタープランの素案を、23日、相馬市役所で開いた住民懇談会で示した。震災・原子力災害を踏まえ、都市インフラ整備による地域コミュニティの再生・強化や、ロボット・エネルギー産業の展開・集積により浜通りの新たな産業・雇用を支える都市づくりを推進し、復興をリードするまちづくりなどを目指す。素案は懇談会での意見を反映した上で、年度内に県都市計画審議会に諮る予定。パブリックコメントなどを経て原案をまとめ、29年度内の都市計画決定を目指す。
県は、浜通りの都市計画区域マスタープランを現行の8区域から3区域に再編し見直す計画。震災の影響等で中断していたが、26年度に双葉郡を除く5区域の作業を再開し、相馬、鹿島、原町、小高の4区域を合わせた相馬地方区域と、いわき区域の見直しを行っている。相馬地方区域については、昨年10月の住民懇談会で、仮称だった名称(相馬北)を相馬地方に決定している。
相馬地方、いわき両区域は震災と原発事故の影響で社会構造、土地利用が大きく変化しており、県は都市づくり基本方針の3項目に加え、浜通り独自の方針として「安全で安心な暮らしを支え、人と人をつなぎ復興をリードする都市づくり」を設定。それぞれの地域で住民等の意見を聞きながら作業を進めている。
相双地方区域は2回の住民懇談会等を経て素案をまとめた。素案は、現プランをベースに復興等の視点から理念、方針等を加えた。都市づくりビジョンは現行の「豊かな自然と共生しながら暮らし続けられる2つの交流拠点を生かした都市づくり」のまま。
都市づくり理念には「複合災害を克服し、地域の絆と誇りに満ちた復興まちづくり」を追加。具体的な対応として@都市インフラや住宅団地の整備による地域防災力の向上、地域コミュニティの再生・強化を目指した都市づくりAロボット・エネルギー産業の展開・集積による浜通りの新たな産業・雇用を支える都市づくり―により、復興をリードするまちづくりを推進するほか、持続可能な都市経営に向けて@規模や特性に応じたコンパクトなまちづくりA「コンパクト+ネットワーク」による都市構造の構築B復興のための開発を適正に誘導しつつ、長期的な視点からのコンパクトな都市づくり―を推進するものとした。
このほか、相馬市相馬地区と南相馬市原町地区の中心部は、相双広域都市圏の中心として都市機能を充実させるとともに、住み続けられる居住環境を形成し魅力の向上と賑わいの創出を図る。新地駅周辺は復興した町のシンボルとなる都市機能を誘導。相馬港や既存産業団地、イノベーション・コースト構想に関連する産業団地や研究施設、エネルギー基地等を工業拠点に位置付ける。