東京都水道局は、2017〜20年度の4年間を期間とする「多摩水道運営プラン2017」の案をまとめた。給水の安定性を高めるため、配水区域を大きく四つの区域に再編するとともに、浄水所・給水所の再構築や送水管のネットワーク化を進める。施設の耐震化や浄水施設の覆蓋化といった取り組みも推進する。
今後も基幹的なライフラインとして多摩地域の水道システムを運営していくため、@給水安定性の向上A高品質の維持Bさまざまな脅威への備え―の観点から、施設の再構築や危機管理を実施する。
給水安定性の向上では、水源や地形、地盤の高低差などを踏まえ、多摩地域を「多摩川上流(山間部)」「多摩川左岸西部地域(傾斜のある市街地)」「多摩川左岸東部地域(平たんな市街地)」「多摩川右岸地域(起伏のある丘陵地)」の四つのエリアに配水区域を再編する。
多摩上流は小規模な配水区域に再編し、浄水処理方式を膜ろ過設備に変更。隣接する配水区域とのバックアップ機能を強化する。
多摩左岸西部は、一方向に傾斜している地形を踏まえて中規模な配水区域に再編。膜ろ過式設備を導入するとともに浄水所や給水所を拡充整備する。
多摩川左岸東部は、平坦な地形のため大規模な配水区域に再編し、拠点となる浄水所や給水所を新設、拡充する。
多摩川右岸では、起伏のある地形に合わせて配水区域を中規模に再編。拠点となる浄水所や給水所の耐震化を進める。
多摩地区にある施設(浄水所71カ所、給水所35カ所、配水所92カ所、ポンプ所72カ所)の多くは、小規模で点在しているため施設管理が非効率となっている。また、1960年代半ば〜80年代半ばの完成で近い将来、一斉に更新時期を迎える。
そこで、浄水所・給水所などの再構築として、配水池容量が不足し老朽化している施設を優先的に整備し、必要な配水池容量を確保する。千ケ瀬第1・第2浄水所(青梅市)や福生武蔵野台浄水所(武蔵野市)、多摩北部給水所(清瀬市)、小野路給水所(町田市)、暁町配水所(八王子市)など拠点となる施設を整備しながら、既存施設の統廃合も進める。
浄水処理やポンプ、電気、監視制御といった重要な設備機器については、状態や重要度を考慮して計画的に更新する。その際、構成などを見直し、仕様を統一することで運転管理や維持管理を効率化する。
送水管は災害時や事故時に対応する広域的なネットワークが確保できていない。老朽化した送水管の更新の支障にもなっていることから、多摩南北幹線の整備を進めつつ、新たな送水管線の調査・検討を始める。併せて秋留台給水所(あきる野市)と文化の森給水所(日の出町)を新設し、送水管を二系統化する。
災害に備えた施設整備では、大船給水所や散田給水所(いずれも八王子市)、石畑給水所(瑞穂町)の耐震化対策を継続しながら、新たに聖ケ丘給水所(多摩市)の耐震補強工事に着手する。大規模停電時にも安定的に給水できるよう、自家用発電設備や燃料タンクの増強整備にも取り組む。
小河内・大丹波・日原浄水所(いずれも奥多摩町)や千ケ瀬第1・第2浄水所(青梅市)などで施設を覆蓋化し、大久野浄水所(日の出町)などで浸水対策を講じる。
提供:建通新聞社