高知県と高知市は16日、合同の南海トラフ地震対策連携会議を開き、2016年度第3四半期までと今後の取り組み、17年度当初予算の概要について報告した(高知市は予算発表前のため概算値)。このうち主なハード整備では、県が河川や海岸堤防の耐震化を継続実施することなどを報告。市は斎場の増改修や東部環境センターへの防潮堤建設の工事に17年度着手することに加え、旭駅周辺の土地区画整理事業を継続実施することなどを報告した。
長期浸水対策として県は、河川堤防の耐震化に向け今後も継続して国分川、鏡川、下田川、介良川などで工事を進める。17年度当初予算案には5億1800万円を計上し、優先度の高いエリアの整備を実施する。海岸堤防の耐震化には8億5000万円を計上、若松町工区と新田町工区で工事を進め、中の島地区、萩町地区、桟橋通地区で調査設計を継続する。
市は、雨水ポンプ場の長期浸水対策に6500万円を計上し、水再生センター場内の雨水ポンプ場で耐震・耐津波診断や下知水再生センター管理棟の耐震対策実施設計を進める。下水道汚水管路関連には2億4500万円を計上し、中部合流幹線耐震化工事や金子橋北街合流幹線耐震化工事を進める。
遺体対応に向けては、高知市が斎場施設の増改修工事に4億8000万円を計上し、収骨室や待合室の増築と既存施設の天井などの耐震化工事を進める。
廃棄物対策としては、市が東部環境センターの津波浸水対策工事費に1億円を計上する。L2クラスの津波浸水を防止するため、高さ1bの防潮堤を建設する。また今後はし尿処理施設の長寿命化工事も計画している。
県は、市町村などが保有するごみ処理施設やし尿処理施設の強靱(きょうじん)化に向け、今後支援計画の作成に入る。また3月中をメドに高知県建設業協会と災害時協力支援協定の締結を目指していることも報告した。
火災に備える対策としては、市が旭駅周辺の土地区画整理事業を継続して進める。17年度当初予算には住宅市街地総合整備事業に7億6808万円を計上し、都市再生住宅の設計と工事、老朽建築物の買収除却などを進める。下島土地区画整理事業には19億8948万円で下島地区の換地設計、家屋などの移転補償を進め、公共施設などの工事に着手する。中須賀土地区画整理事業には4億5293万円を計上し、換地設計や用地先行買収などを進める。県はこうした事業について、国への交付申請や要望を通じて支援を継続する。
住宅の耐震化に向けては、県は7億0145万円を計上し、住宅の耐震診断、耐震改修設計、改修工事、コンクリートブロック塀耐震対策、老朽住宅の除却などを支援する。市は2億5710万円を計上し、同様の設計や工事などについて費用の一部を補助する。
提供:建通新聞社